その意味

知らないの。

その意味を。

知りたいの。

その意味を。

あなた方が話す
日本語を、
知らない振りして
聴こえていない振りをして
黙って聴いていたの。

私、
卑怯な気がして
こころから呟いたの。

「私は偉くも特別でもない。
あの人達と同じ、嫌だけど同じ・・・。」って。

大好きな日本語が
投げ出される槍になり
胸を痛める時があるの。

大好きな日本語を
意味不明に話す「その意味・・・。」

私、
出来れば
知りたくないの。

日本語を聴きいれる
私の耳が
これ以上
上達して欲しくないの。

ただ一つ、
イライラしないあなた方の
本当の優しい笑顔を見たいの。

それだけなの・・・・・・。


我慢

いつもは
「大丈夫だよ!」と明るくふるまう娘が今夜は泣いている。
「パパに逢いたい・・・!。」
「本当は毎日一緒においしい
納豆ご飯食べて、一緒に散歩して遊びたい・・・。」
というのである。
頭から布団をかぶりしくしくと泣く。
5分も経たないうちにすやすやといびき交じりの寝息・・・。

子どもは単純でわかりやすいと思ったら大間違い。
それは、大人が(私が)勝手に決め付けた事。
子どもはとても繊細な硝子、壊れやすい反面、
とても我慢強く、周りに気を使い、遊び以上の
エネルギーを大量に消費する。毎日、毎日が大変。

娘、「いつもは、我慢できたのに、今日は涙が出る。」
私、「泣いていいんだよ!大丈夫・・・。」
とあやしながら、
私の頭の中にはパンツを洗っている夫の姿。

普段、娘と過ごす私の一日は
大体自分の都合に合わせ、娘の都合などあまり気にしない。
いや、気にしてたら、24時間の生活リズムが狂っちゃう。
しつこく言わないと、漫画をいつまでも読み続け、
怒らないと、何も片付けない。
しまいには、夜寝る時間になると、娘は不機嫌になり、
ため息を漏らしては、ぶつぶつと私に文句を言う。
「どうして、寝なきゃいけないの?」
娘の大好きな夜を、私が奪っているかのように、
悲しい目をして私を見つめる娘。
もう、毎晩続いている。

深夜、
静かにいられる自分の時間を前にして、
口で忙しいと言う割には
別に、たいして忙しくもなく、
たいして、一生懸命に働いている訳でもなく、
心底、充実感満ち溢れる日々を過ごしているのでもない。
これでいいのかな・・・
本当に、神様に申し訳ない気持ちだ。

自分の事ばっかり悩み、
色々な事を我慢していた娘の気持ちに気づいてなかった。

いや、恥ずかしい。

何が大切なのか、今、思う・・・。

積もり積もった我慢は
風船のようにいつかは割れる。
良い我慢などない。
辛抱はあるけどね!

ちなみに、私は、飼い主が犬のおやつを片手にして
わざわざ微妙な時間を空け、
「待って!よ~し。」というしぐさが好きではない。
わざわざずっと我慢させる酷い場合もある。鼻の上に乗せてまで。
人にも、他の生き物にも我慢は良いことなのか、
どうなのか・・・(我慢の種類にもよるけれど)あまりいいとは思えない。

うん、思えないな。

君の人生は

君の人生の味が
辛い香辛料に浸され
水を欲しているならば
私が水になる。

君の人生の旅が
暗い海に流され
陸を探しているならば
私が灯台になる。

君の人生の喜びが
過ぎ行く過去にとらわれ
今を邪魔しているならば
私が消しゴムになる。

君の人生の宝物が
賢い世間に笑われ
希望をなくしているならば
私が光になる。


君の心の叫びが
聞こえる。

「頼むから、ほっといて!
独りにして・・・。」

残念なことだが、
私は君の中にいるのだから
それは無理だよ!


君の人生の道が
無数に枝分かれされ
足を疲れさせているならば
お願い、休んでちょうだい。

前へ、
進み行くことだけが
立派な人生じゃないんだからね。

急がないで、
焦らないで、
比べないで、
怒らないで、
笑って、
君の中にいる私と。


君の人生の色が
どのような色であれ、
君はこの世のだった一つ
輝く色である事実を誇りに思って。

ほら、
君は独りじゃない。

一緒に、
一度きりの人生を、思いっきり楽しもう・・・。

ほら、
君の人生は
君独りだけの
「人生」じゃないからね・・・。

ナジュムの涙

青い綿毛の羽が
自由に空を
飛び回っているらしい。

光り輝きながら。

まったく、何の利益にもならない
つまらない話、
その光景を目にしても、
人生の方向を変えさせる
出来事が起きるとは
思えないが、
親善バカンスの
フィナーレを飾るには
ちょうどいい
おいしい話なのかもしれない。

貧しい共和国、
捨てるつもりの
空っぽのペットボトルを
羊の乳を売る両手のない
少年は欲しがっていた。
あげたお礼に
少年はナジュムの渓谷話を
聞かせてくれたのだ。

その瞳から
でたらめなことを
言っているようには
思えない。

どうやら
この先に広がる
三つの砂漠を越えると
青い綿毛の羽、
光るナジュムに
あえるらしい。

蜃気楼を探す
初の無謀な旅、
一瞬、
その場へ行かざるを得ない
予感がした。

嘘であってほしい、
夢のような光景。
青い、
青い綿毛の羽が光る・・・。
いや、嘘に違いない。

嘘は虚無そのもの。
嘘だけが信じるもの。
虚無の裏には、
きつく編みこまれ苦しむ
底知れない数々の哀れみが
横たわっている。

これこそ、
情けのない我が人生!
君の人生!

こんな人生がもたらす
危険な呪文を何度も悪魔と
取り引きしながら
冷気漂う道を平然と歩いてきた。
善意を装い、
邪魔者は踏み潰し、
欲しい愛は奪い、欲しいものは
必ず手に入れる。

何故、今、
それらを情けないと思うのか、
理解不能だ。

「一度は、
命掛けて、
信じるものを粉々に壊したい。
死んでしまうかもしれない
真の光をこころにいれかえたい・・・。」

暑く眩しい日差しに反射され
恐いほどうつくしい少年の瞳、
君は何者だ?!
君こそ、ナジュムではないだろうか・・・。

手を振る少年を後にし、
歩き出した。

編みこまれた呪文を
突き破るかのように
体中へ刺さりこむ砂の棘、
枯れたサボテンのような
体を引きずり、
やっと 
一つ目の砂漠を越えた。

酷く疲れた・・・
しかし、
足を休めることが出来ない。
何かに歩かされている。

やはり、
この地へ足を運んだのは
大きな間違いである。
少年との出会いは不運である。
巡礼者のふりをして
寺院の柱を触れたのも。
名誉を買う為
財産の一部を寄付したのも。

真っ暗闇の月明かり、
現世とは思えない無音の世界。
遥か昔、生まれる以前、
誕生への悲しみを思い出しながら
何とか
二つ目の砂漠を越えた。

更に、
酷く疲れた・・・何も考えられない。
しかし、足は歩き続けている。

頭の中が氷のように
冷えていく。
こころの中が炎のように
燃えていく。
まったく、
湧き起こる嫌な情念を抑えられず
予想外の感情に支配され
三つ目の砂漠を越えた。


昇る星の群れ、
沈む星の群れが交差する渓谷

そよそよ!!ひらひら!!ぴっかん・・・
そよそよ!!ひらひら!!ぴっかん・・・。 

かつては、
悪魔に取り引きされた
虚無の哀れみ、
姿を隠すことなく
すべてがここで
それぞれ輝き生きていた。

一つの生命として・・・・・。

青い綿毛の羽の正体は
この目で見る限り悪魔の羽であった。
光る輝きは、
太古のナジュムの涙だろう。

悪の支配者が
ここではまるで天使のようだ。

さぁ、これから
自分の力で真の光を探す
本当の旅の始まりだ。

次は、
君が行って確かめる番だ。

そして、
必ず前の方へ歩み進んでほしい。

きっと、君は
四つ目のオアシスで
きれいに手足を洗い、
誰の背中にも悪魔の
青い羽が縫われている事実を
知る事になるだろう。

虚無の哀れみが
どれほど人間を救っているのか、
その輝きが
けして、汚らわしいものではないことを
わかってほしい。
なぜなら、
ナジュムの涙が集まり海になったのだから。

窓の呟き

以下、

窓の、
短い片思いの
物語。


外と内、
その間に身を構えて
住んでいる薄すぎる存在。

私、窓でございます。

あなたのものでもあり
誰のものでも
ありません。

それは、
大して重要なことでは
ないのです。

あなたの知らない内に
あなたの全てを
知ってしまいました。

好きにもなり、
嫌いにもなりました。

あなたの夜、
あなたの空想、
あなたの鼻歌、
あなたの独り言。

それから、
あなたの食事、
あなたの怒り、
あなたの表と裏の顔。
あなたの祈り・・・。

充実に悩み、
必要以上に動き回るあなたが
私には面白いです。

私のこと、
何の疑いもなく
好きなことを好きなだけ
話すあなた。

聴こえてますよ!

凍りつく私の体へ
あたたかな吐息を吹きかけ
ハートのタットゥーを
入れてくれたあなた。

この冬が終われば
私の短い片思いは
窓の水滴のように
流れ落ち消えるのでしょう。

あー春が
静かに近づいてきます。

あなたは忙しくなり
きっと、
私に見向きもしなくなるのでしょう。

いいのです。

あなたのいる世界、
どこの外にも内にも
私はいます。

つらい時は、
いつでも
声を掛けてください。

あなたの為にとっておきの景色を
お見せしますので・・・。

窓より愛をこめて。