偽りの世

命を買えるんだ
命を売れるんだ。
愛を媚びるんだ
愛を舐めるんだ。
友情を植えるんだ
友情を枯らすんだ。

戦争を買えるんだ
戦争を売れるんだ。
性を媚びるんだ
性を舐めるんだ。
芸術を植えるんだ
芸術を枯らすんだ。


宇宙を買えるんだ
宇宙を売れるんだ。
権力を媚びるんだ
権力を舐めるんだ。
希望を植えるんだ
希望を枯らすんだ。


嘘も
事実も
罪も
許しも
テロも
犠牲も
国も
歴史も
神も
悪魔も
涙も
純情も
買えるんだ。
売れるんだ。

わたしも・・・。

銭で。




有無

うすべにいろ
うすべにいろ
花の乳房。

うすべにいろ
うすべにいろ
恥じらいの唇。

うすべにいろ
うすべにいろ
無罪のリンゴ。

うすべにいろ
うすべにいろ
無罪の原罪。

うすべにいろ
うすべにいろ
微笑みの殺生。

うすべにいろ
うすべにいろ
日陰のミミズ。

うすべにいろ
うすべにいろ
最高のおみやげ。

うすべにいろ
うすべにいろ
永遠の汚れ。

うすべにいろ
うすべにいろ
楽園の沼。

うすべにいろ
うすべにいろ
地獄のオアシス。

うすべにいろ
うすべにいろ
偽善者の愛。

うすべにいろ
うすべにいろ
この世の
一番
うつくしいいろ。

お前の視線




















ゆうべの道は
ゆうべに終わった。

しかし
この先も
ゆうべの続く道。

運命だよ
・・・・・
お前に
出逢ってしまったから。


変わりのない
変化を
この土地で
求めるのは
夢を
枯らすこと。

青函フェリーに
荷物より重い夢を乗せ
波打つ広い世界へ
舵を切った。

新天地をめざす
何気ない哀れみは、
儚い灯りそのもの。

点いては消える
昔からの
ゆうべの続く
お前と俺の運命。

指先でつむぐ
都会の甘い蜜、
偽者なのか
本物なのか
吐き気がするほどむせる。

けして俺は
道端に無礼を
落としたくないが、
いくつかの
暗闇の苦い思い出を
捨てた。

白黒論じない
危なっかしい
本能を泳がし、
不確かな未来への
明るい夢の唄なんか
唄ったりしてさ・・・
・・・・・。


見て見ぬふり、
知らん振り、
お前の視線。

やけに
目に沁みる
やけに
目に沁みる。






あの家




















猫の住んでいる家には
どんな飼い主が住んでいるのかな。

じっと動かないまま、
2階の開いた窓から
私を見つめている。

私もじっと動かないまま、
道の上に立ち止り
あのこを見つめる。

毎日
あの家の前を通っていたけど
あのこに逢えたのは初めて。

一日の楽しみが増えた。
あの家の
窓を見上げる楽しみ・・・
胸がドキドキする。

幸せの手

時々
同じ事を
聞いてくるんだ。

九十五歳の
目の見えないお婆さんが・・・。

「お嬢さん!
幸せなのかい?」

私は
いつも
同じ返事をするんだ。

「・・・よく分かりません。」

お婆さんは
私の手をぎゅっと握り
優しくいうんだ。

「お嬢さんの手がいつも冷たいので
心配なのよ!
早く、幸せになってちょうだい!」

その後、
私は
いつも
同じ事を聞くんだ。

「お婆さん!
幸せな人の手はあったかいですか?」

「うん?・・・
そんなことしらないわ。
私はずっと幸せだけど、手は昔から冷たいのよ!」


お婆さん、幸せなんだ!
よかった・・・。

本当はお婆さんの手、とても温かいんだよ・・・。


何が人の幸せなのか、
その質、基準などどうでもいい。
それぞれの幸せについて
疑問を感じる必要もない。

幸せだ!と言えるお婆さんを見て
私は凄く幸せを感じた。

私の手は相変わらず冷たいけれど、
人の幸せにより心がそっとあったまる。

幸せな人を見るだけで、
幸せな気持ちになれる。

いいね。幸せって。