おやすみなさい

夜だよ!
遅い夜だよ・・・
君の、
頑張った一日の
ご褒美の夜だよ。

疲れること
イライラすること
我慢すること
緊張すること
苦しいこと
泣きたいこと・・・

大丈夫、大丈夫だよ。

いいじゃない!

こんなにも
素敵な仲間と
同じ食卓を囲んで
おいしい食事をしているのだから。

夜だよ!
皆が
お家へ帰った夜だよ。

君の、
頑張った一日に
お疲れ様!

君の、
頑張る明日にも
お疲れ様!

いい夢みてね。

おやすみなさい!

初恋の味

長距離バスの
行き先は
憧れの海です。

海を見たのは、
十八歳。

狂おしい白い波の
叫び声が
今でも
忘れられません。

恋の知らない私は
恋がしたくて
恋人探しに
海へ行ったのですが、
信じられないほど
誰もいませんでした。

そこに、
昔、昔からあるのは、
私を待っていたのは、
青い海だけでした。

だから、
私の初恋の相手は
海です。

砂浜に書いた名前、
「バダ」

空っぽのこころ
乾いたくちびる
疲れたからだを
彼は少しだけ、
愛撫してくれたのですが、
彼の
くちづけは、
とても、しょっぱい味でした。

忘れられない
初恋の味です。


※韓国語で「バダ」は、海という意味です。

















霧のかかった道を歩いた。

私の体は朝露に潤う葉のよう。

このまま、
このままずっと歩きたい・・・・・。

脈打つ偏頭痛の痛みが
霧の中で溶けて、消えゆく。

不思議だ・・・この道が、この霧が、
ただただ好きだ。

壺の中

壺の蓋を開け、
壺の中を覗いた。

壺の中に手を入れ、
掴み取った。

いくらかな?・・・
数えてみた。

何を買おうかな?・・・
考えてみた。

悩んだ末、
思いついたのは
ブリキの貯金箱。

かちゃんかちゃん、
銅貨の音
かちゃんかちゃん、
痛い音。

壺の中を覗いた。
壺の中に手を入れた。

盗んでも
盗んでも、
母は何も言わない。

盗んでも
盗んでも、
壺は何も言わない。

まぬけで、
可笑しげな泥棒ごっこ。

母は、
ブリキの貯金箱から
銅貨を取り出し、
壺の中に入れた。

娘は、
壺の中から
銅貨を掴み取り、
ブリキの貯金箱の中に落とした。

盗んでは、盗まれる、
その繰り返し。

いつの間にか
壺の中は
銅貨でぎっしりになった。

いつの間にか、
ブリキの貯金箱も
銅貨でいっぱいになっていた。

どうして?!

どうしてなのか・・・
・・・分からない。

お気に入りの靴に
ポタポタと涙が落ちる。

洗い立ての黒髪
白い吐息、
淡いくちづけのように
霞む朝。

お気に入りの靴に
ポタポタと涙が落ちる。

曇る窓に
小指で描いたのは
傘を差した猫。

濡れたら、
雨に濡れたら消えちまうの。

口ずさむ歌に
冷たい頬に
寂しげな朝に
ポタポタと涙が落ちる。

雨の降る火曜日。

お願い!
私の小さな火を消せないで
・・・・・
ポタポタ・・・・・
チャプチャプ・・・ポタポタ・・・。





晩秋

脱いでいく姿
・・・・・。

こんなにも
風は冷たく、
あなたのこころは
渇いているのに、
どうして、
どうして、震えながら
微笑むのですか!

樹の枝より細い体、
トンボの羽より薄いシルエット。

うつむいている山茶花に別れを告げ、
一人静かに山の、雲の、谷間へと。

少しずつ
少しずつ
一つ一つ
脱いでいくあなた。

何も持たず
旅立つその先には
一体何があるのですか。

一晩、
あなたの体を
温めてあげてほしかったです

一晩、
この私のこころで
あなたを抱きしめたかったのです
・・・・・・・。

あなたのよい旅を願います。

私の絵葉書が
あなたの元へ届いたら
お返事を下さい。

いつまでも待っていますので・・・。

久しぶりの勉強

















平和でありますように。

人類の一人として私も世界の平和を望んではいるが
何を平和と言えるのか正直わからない。
単純に、戦争のない世界を平和だとは思わない。
誰が、何を、
平和に思うのかは個人の考えの自由ではあるが
おそらく私が思う平和は・・・
多分、これからも存在しない。
だから祈り、願い、望み続けているのかも知れない。

仕事の都合で私は今研修の為専門学校に通っている。
学校のすぐ隣に神社があり、
昼休みの時間は毎日神社へ行き
広い境内を無心に歩いている。

「世界人類が平和でありますように」

今日はじめて、神社の片隅に小さく書かれている
この言葉を目にした。

私は思った
人類の争いは人類が生み出したけど
人類を生み出したのは神様。(進化論を否定してはいないが)
だとしたら、神様は本当に無責任であるという事を・・・。

個人の権利が尊重され尊厳が奪われない社会、世界。
平和で平等な社会、世界。
まさに今、学校でこれらを勉強している最中であるが
現実ではかなり個人差がある

些細な自分の心の変化を楽しみながら
自分の為に誰かの為になるように
前向きな考えでこれからも勉強してやって行きたい。


小岩の月夜

あの、
丸い銀の塊を
撃ち落としたい。

東京、
無情な小岩の月夜・・・

懐かしい母国語を
ここでは聞きたくない。
出来れば読み書きも、
話も、したくない。

誇りのない愛国心溢れる、
可笑しげな焼肉屋。

焼かれているのは
牛でもなく、豚でもなく
奴隷のように扱われている
不法労働者の汗と涙。

隅々まで飛び散る
歪な言葉の銃弾。

男店主は
礼儀というものをしらない。
女店主は
恥じらいというものをしらない。

毎晩、
人を騙すため、人に騙されないため
月夜の下でまぬけな宴会を開いている。

狭い沼の中に潜み、
弱者の血を吸い上げ、
次から次へと
頬張り貪るように金を食べている。

それは、実に、哀れな姿。

あの、
丸い銀の塊を打ち落とした。

東京、
無情な小岩の月夜・・・

懐かしい母国語、
私の、
最初で最後に吐き出した汚い言葉。

「さらば、XXX達よ!くたばれ!!!・・・」

店主らの光る目をはねかえし、
小岩の月夜の下、
明日に向かって歩き出した。

今日は・・・

















色々と用事が重なり、
ほとんど行くことのない福住で
何時間も過ごした。
落ち着かない街の雰囲気、
夕暮れ、バスに乗り家に着いてから
しばらく休んだ。
今日は土曜日。
明日は、日曜日・・・早いね・・・毎日が・・・・・。
あれこれと、考えことをしていたら
くのいちからの伝言が届いた。
今私は斉藤和義のうたを聴いている。
2度目の、
何んともいえない不思議な気持ち。
この人のうたを聴いていると涙が出る。
悲しい気持ちになるのではなく、私のこころの声を
代弁して歌っているような気がして、ただありがたいのである。
忙しいくのいちの事も・・・ただありがたくて、いつも申し訳なくて・・・・・。

グレープフルーツの香りがするドラえもんのリップスティック!!
娘がうるおう唇をとがらせ、
お人形のレン君(リカちゃんの恋人)にチューする。

ドラえもんの笑顔、ドラえもんの優しさ。
人の笑顔、人の優しさ・・・・・

くらげのようにゆっくりとゆらゆら泳ぐ夜。
薄暗い部屋で一人静かにコーヒーを飲みながら
十一月一日、日曜日をむかえるのである。