幸せの手

時々
同じ事を
聞いてくるんだ。

九十五歳の
目の見えないお婆さんが・・・。

「お嬢さん!
幸せなのかい?」

私は
いつも
同じ返事をするんだ。

「・・・よく分かりません。」

お婆さんは
私の手をぎゅっと握り
優しくいうんだ。

「お嬢さんの手がいつも冷たいので
心配なのよ!
早く、幸せになってちょうだい!」

その後、
私は
いつも
同じ事を聞くんだ。

「お婆さん!
幸せな人の手はあったかいですか?」

「うん?・・・
そんなことしらないわ。
私はずっと幸せだけど、手は昔から冷たいのよ!」


お婆さん、幸せなんだ!
よかった・・・。

本当はお婆さんの手、とても温かいんだよ・・・。


何が人の幸せなのか、
その質、基準などどうでもいい。
それぞれの幸せについて
疑問を感じる必要もない。

幸せだ!と言えるお婆さんを見て
私は凄く幸せを感じた。

私の手は相変わらず冷たいけれど、
人の幸せにより心がそっとあったまる。

幸せな人を見るだけで、
幸せな気持ちになれる。

いいね。幸せって。




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