何処に行けば 

今いるここで
見つけられない。

今いるここでは
時間だけが過ぎ行き、
次元の持ち主に
鞭打たれてばっかりである。

逆らえないまま
ゆらゆらと
過ぎ行く私。

今いるここで
見つけられないのは、
何処に行っても
見つけられないのだろうか。

私には、
生まれたときから
何か忘れたものがある。
形のある、形のない
重みのある、重みのない
分からない何かが。

いつも 
探し続けている夢を見る。
いつまでも、
歩き続けている夢を見る。

岩の裂け目に挟まれた、
幼い白い蛇の目、
わたしはその黒目に映り、
その黒目はいつまでも夢をみている。

抜けられない苦しみをしらず、
岩そのものが、
自分の体だと思っているのは
蛇なのか、私なのか。

何処に行けば
見つけられるのだろう!
何処に行けば
気づくのだろう!・・・
・・・あ!むなしい夢ばっかり
見続けている。

行けよ!岩から離れて。
夢よ!私を歩かせないで。

私は、
今いるここが、いいのだよ。


あれは、何?

なにかな、
あの光は・・・

とても輝いているけど、
とても綺麗なんだけど、
なぜか儚い。

娘の
はじめての
星への感想。

そうね、
儚い光よね・・・。


神秘的な冬の夜空、
ある日、
私は輝きのない
星の窪みをみつけた。

丁度いい窪みだ!

孤独を羽織り
体を少し凍らせ
ゆっくりと夢でもみるがよい。

冬眠に入るように。


私の好きな冬の夜空。

釜山の下町の丘で、
数えた夜空の星。

あれは、何?
私は聞いた。

なにかな、
あの光は・・・。

「くだらない望み!」と、
自分に答えた。

大嫌いな夜空
大好きな夜空。

私が思うには、
星は、
「日」と「生」じゃなく
「生」と「死」。

始まりと
終わりの間の
一瞬の輝き。

地上から見上げられる
一番儚い光。

少年の月

ついて来るな!

僕は独りで行くんだ。

内側ポケットにナイフ
もっとも弱い者の
持ち物さ!

誰かを傷つけるふり、
自分を痛めるふり・・・。

聞こえるよ!
悪魔の指を鳴らすリズムが。

退屈な踊りを思いっきり披露すると
大人たちは目を光らせ喜ぶんだ!

何故かって?

面白いから、
ただ、面白いから・・・。

あいつらは、
大きな拳で
天使のラッパをぶち壊し、
永遠と笑っているんだ。
悪の為にね。

僕はもう、踊りつかれたよ!

夕暮れの捕獲、
野良犬の行き先を
僕は知っているが、
僕の行き先は
誰も知らない。

僕が決めるんだ
いいだろう?!

今まで通り、
これからも僕、独りで・・・
だから、ついて来ないで。

見つめている。
同じ場所で、
何も言わず、
照らし続けている。

僕を・・・
君だけが・・・。

その光、その良い顔、
僕は怖いよ!

僕の心の中に潜んでいる神様を
どうか許して!

もう、ついて来るな!

僕は独りで戦うんだ。

まともな大人、一人見つけるまで
僕は僕の信じる神と戦うよ!

だから、君はそこにいて。

天使のラッパが聞こえたら、
君のもとへ戻っていくからね。

その時まで、
僕を、待っていておくれ。

時には・・・

話を交わし、
笑い、泣き、うなずく。
話を交わし、
首をかしげ、怒り、悲しむ。

理解されたい
理解されない
理解されなくてもいい。

理解を超え
救われているのに、
程を知らない
恥知らずの私ね!

好きなのに、
大好きなのに、
自分のことしか考えない
こころの未熟さ。

私達は昨日も今日も明日も
話をする。

何故?
ただ、存在しているからなの?・・・。

知り尽くせない自分を、相手を
見つけたいからなの?・・・。

私を見せびらかす今の私、
今で終わり。

私を閉じ込める今の私、
今で終わり。

時には、
話のない
清らかな
存在のままでいたいの。

全身全霊で感じ取りたい。

風にうなずいている野花のようにね!
今にでも折れそうな弱さ、
それでも、向き合わない強さ。

本当のやさしさで、
時には、
うなずくだけでいたいの、わたし。

郵便局の前

雨降る冬の郵便局前、
傘も差さず
あの人立っている。

あの人、
知らない人。

雨降る冬の郵便局前、
手紙を出せず、
あの人迷っている。

あの人、
私知らない人。

だけど、気になる。
とても、気になる。

雨降る冬の郵便局前、
言葉を言えず、
あの人困っている。

あの人・・・・・
泣いている。

私も、悲しい。

雨にぬれた宛て先、
世界のどこかの国。

ねぇ、泣かないで!

あなたは、
あの頃の私のよう・・・。

雨降る冬の郵便局前、
傘の中、あの人と私。

何を話したのか・・・。

きっと、大丈夫。
これから何があっても。

冷たかったけれど、
両手から伝わるあの人のぬくもり。

あなたの
幸運を祈ります。


私は郵便局を通り過ぎるとき
こころがしめつけられるように痛みます。
宛て先のない手紙、
故郷への想い。
東京にいたあのとき 雨降る冬の日でした。
郵便局へ行き、「私、韓国へ行きたいです!」
と、言ったことがあります。
・・・・・バカですね・・・。

郵便局の前で困っている外国人を見掛けたら
声を掛けてあげましょう!。




瞬間

















一瞬の晴れ模様。

夏には、街路灯の上に、私の知る
かもめが止まっている。

橋を渡るとき、いつもこの場所で足を止め
この景色を眺める。
何気ないこの景色が私は好きだ。

友達の家に遊びに行った。

家を訪ねるのは今日がはじめて。

シャガールの素敵な絵が白い壁に飾られていて、
淡い色彩から伝わる柔らかな心地よさは
友達の雰囲気と同じ。
おしゃべりに夢中~
早いね~もう夜だ。

私は時計をよく見る癖がある。
つまり、針の進み具合をね。
昔から不思議でしょうがない・・・どうして今、この瞬間が進むのか・・・
お願い!止まれ!念じても一度も止まらない時間。

私が写真が好きなのは、 
なぜか時間に逆らっているような気がするからだ。
変わらない・・・薄れていくけれども、
あの時、この時が止まる。いや、止められる。
ちょっぴり切ないけれどね・・・。

人の体内時計は約25時間。
一日の24時間周期に修正するのは、
お日様の光。
朝、光を浴びることはとても大切なことらしい。

何から何まで世の中は不思議でいっぱい。
あれもこれもが私の毎日、今、瞬間にあり、過ぎ行く。
何も止まらない。

夏の街路灯、かもめのようにね・・・・・。

出会った人へ

過去からの人がいます
毎日、一緒にいます
しかし、この先からは
わかりません。

現在からの人がいます
今は、一緒にいません
しかし、明日になれば
また、会えるのです。

未来からの人がいます
一度も、会ったことがないです
しかし、会ったこと、あるかも
しれません。

出会いに胸膨らませる喜び、
私にはそんなものありません。

儚い執着や後悔だけが
私を苦しめているのです。

私から好きだと伝えた人 
私から嫌いだと伝えなかった人
・・・・・・。
地球の何処かで、
私のこと思う人。
あなたは、今を生きる人ですか?

私は時々思うのです。
宇宙の何処かで、
ある人のこと思う、もう一人の私を。

私は人でありながら
漂う無機質なものかも知れません。

出会った人により
漂い、彷徨い、
生かされていく物質なのです。

ですので、
私の苦しみというのは、
贅沢なありがたいことかもしれません。

私に出会った人の苦しみ、
よろしければ分けてください。
この私に・・・・・・・。

狐と山葡萄

鼻先が赤いお坊さんに
酒樽を供える狐。
私はこの目で、
見たんだ。

山奥に住む狐を
村人は化け物だと
恐れていたが、
それは嘘、真っ赤な嘘。

とても、美しかったよ。

ある昼前、
私はお腹を満たす為、
山葡萄を求め
山へ入ったんだ。

秋の訪れる山には
色とりどりの落ち葉が
静かにお休み中。

あ!あそこにある!
たくさんある!

高い木にぶら下がっている
山葡萄。
食べるのに苦労したよ。

森に差し込む薄い光・・・
そろそろ帰らなくちゃね。

その時、
酒樽を転がしながら
庵の中に入っていく狐を見たんだ。

私は、
忍び足でお坊さんと狐の話を
盗み聞きしたんだよ。

あと、
千五百六十三回、
酒樽を供えると
狐は人間になるらしいよ。

かわいそうな狐、
お坊さんに騙されているのね・・・。

家に帰った私は
少し悩み、また明日
山へ行こうと思っていたよ。

しかし、その夜
お父さん、お母さんに怖いほど叱られ
行けなかったんだ。

真っ赤な山葡萄の汁が
私の指先、口の周りに染み付いて
山へ入ったことが見つかってしまったんだ。

あの狐は
人食い化け物じゃないのに・・・。

あのお坊さんを敬う
大人たちが遥かに怖いと思ったよ。

一つだけ、
私の謎が解けたのは
お坊さんの赤い鼻先のこと。

酒樽のせいね!

手の中

明日への秘密、
早咲きしないで。

見つからないように
手の中へ
深く深く、隠れていて。

未完成の今、
夢を見させないで。

愛の為といわずに
手の中、人生の迷路を
彷徨い続けていて。

あなたの、
五本の指の隙間から 
漏れ出す光が、
私には見えるの。

あなたへ込められた
バカな願い、
あなたを狂わせる
汚れた願い・・・・・。

掴むよ!その苦しみを・・・
私のものだから。

掴んで持っていてよ!
この愛と情熱を・・・
あなたのものだから。

帰路への星くず、
冷たい私の手の中へ
一つだけお入り!

「暗い」私を照らす、
あの人の手の中・・・
優しい光で包んでおくれ!

白檀

お母さんの匂い・・・白檀。

胸に積もった苦しみ、白髪になり
透けて見える静脈、生きてきた証。

私を産んだ人。
最後まで、
私の顔を見つめた人。
今でも、
私を見守り続けている人。

その人は、お母さんです。

私は小さい頃から大好きな匂いがあります。
「白檀」です。

昔、食器棚の中に大切に保管されていた漆器。
その片隅に、大人の拳程の木香が置いてありました。
一日中何度も食器棚を開け、匂いを嗅ぎました。
そして、幼い時から、母と訪れたお寺にもいつも
白檀のやさしい香りが静かに漂っていました。

人は、時には、懐かしい匂いにより
忘れかけていた思い出を思い出し、
不思議と、今から前へこの先へ
少しでも進んでいけることが出来ます。
その先は目には見えないけれど、
きっと、その人の人生を豊かにしてくれると信じています。

豊かさは愛です。

昔からずっと好きだった匂い
とても懐かしく、とてもこころ安らぐ白檀の匂い。

思えば、以前100円ショップで売られている
白檀のお線香の匂いを嗅いで突然泣いたことがあります。

お母さんの匂いでした。

踏まれても
掘られても
痛いといわない。

ぶつけられても
異物を埋められても
痛いといわない。

どこまで、
我慢強いの?

私が・・・
痛い、痛いよ。

うまれて、かえる。

かえって、うまれる。

私、立っている。
土の上。

弱弱しい足で、
立っている。

綿雪の降る早朝、
白い毛布を被った土。

「痛かったんだ。
雪さん、ありがとう!
温かいよ!!」

何とか・・・

あっという間に研修が終わり、
最終日の試験も終わった。

今回、私は生まれてはじめて真剣に学んだ。
言葉の難しさより、何より苦しんだのは試験に対する
自分のこころの不安であった。

再試験があるとはいえ、
これからの人生において、
「私、頑張った!出来る事もあるじゃない!」と思えるような
こころの回復を望んでいたのだ。
家族や周りの人々に励まされ何とか無事に
試験に合格することが出来た。

皆に感謝します!

学校で学んだ人のこころと体、命の尊厳、
様々な精神障害、身体障害、高齢者の認知症
そして介護する人のあり方、社会のあり方・・・・・。

授業中、何度も何度も泣いた。

社会の他人は、他人ではない。
他人も自分自身も皆同じ。
皆と変わりのない生き物なのだ。

とても有益な時間を過ごした。
一緒に学んだ教室の仲間達、
先生の方々にも沢山励まされ
感謝の気持ちでいっぱいだ。

人は皆、
その人らしく生きる自由と権利がある。
どのような障害があったとしても。

学んだこと、大切に思ったことなどを
これからの仕事に活かしつつ
私自身も成長して生きていきたい。

イルミネーション



















冬の、
寒い夜空の下。

微笑みを浮かべ
イルミネーションを眺めている人々。

今、ここに、私はいない。

不思議だね。

夜空には無数の輝く星があるのに
真っ暗闇のよう。

ただただ、黒い。

夜空が、沈黙の川のように
黒く見えるのは
私のこころの写しなのか。

ハート形のイルミネーションをじっと見つめていたら
吸い込まれそうになった。
魔法の鏡のよう・・・
白雪姫の顔が映し出されそうな、
魔女の顔が映し出されそうな・・・・・。


先日、友達からの写真。
大通り公園のイルミネーション、
やはり、綺麗ですね。