朝の七時

毎朝の七時、私は脱皮を繰り返す。
ゆうべのひどい頭痛・・・
悪夢にうなされ、悪魔に呪われ、神様の助けを求めた。
優しい神様は私を抱きしめる。待っていたかのように。
しかし、よく見ると・・・得体の知れない悪魔のような生き物。
毎朝の七時の光を浴び、
私は脱皮をする。

今日を生きるために・・・。


手紙

空の上に手紙を落としてしまった。
雲の底に沈んでしまった。
永遠に届かない手紙に、私は何を書いたっけ・・・。


花田(縹)色

知りませんでした。はなだいろを・・・・・。
色の名前を知ると、よりその色を感じます。
いつもの場所での、毎日違う色の空です。

柔らかな西日、細い路地。
静かな潮風、白い子猫。

何も考えず歩いていたら、
地球の端っこでさまよっているような気がした。
美人の顔が「ようこそ!!」と迎える。
「月」だ。
月の文字が美しい顔の人のように見えた。
まだ月明りもないというのに、
月に照らされているような気がした。
しばらく壁に背もたれ眺めた。
うつくしい・・・・・。


思い通りⅢ

どうしても入ってみたい。
コーヒーを飲みたい。
私の場合「どうしても」になると必ずうまくいかない。
店は閉まっていた・・・。

納得

港町の古い商店街。婦人服売り場のショーウインドウの中・・・
ブライアン・セッツァーの旗(?)がいまにでもはがれ落ちそう。
マネキンの、未来を見つめているかのような視線。
店の中にはかなり年老いた女性の姿。
何かがおかしいが・・・何故かいい雰囲気。
何かがおもしろいが・・・何故か納得!


そんな存在

影の周りには光、光の周りには影。
影は光を吸収し、光の存在をさらに光らせる。
光は影を照らし、影の存在をくっきりとあらわす。
届かない光、見えない影・・・
心の中で、
何処かの「そんな存在」に触れ、訪ねてみる。
自分の転がる欲望という存在が邪魔をする。
顔を隠したいほど恥ずかしい。
「そんな存在」を語る前、まず、少しでも「自分のそんな存在」を
知るべきだ。まだまだ知らない光と影を心から探し認識するべきだ。

海を愛する人へ・・・

出来れば丁寧に瞬間を生きたい。
出来れば丁寧に気持ちを伝えたい。
それぞれの悩む事情をいちいち言わないで
聞かないで、しかし、常に心から
それぞれの今を愛し続けていたい。
その人の
あの人の全てを・・・・・。

運河を眺めながら海の方まで歩いた。
いつかどこかで全ては繋がり、
いつかどこかで全ては海になる・・・・・。
いつかどこかで・・・逢える!

思い通りⅡ

思い切って入ってみた。
思った通りではなかった。

思い通り

思い切って入ってみた。
思い通りだった。

坂道

丘をのぼる時、下りる時
坂をのぼる時、下りる時・・・むなしい。
夕暮れに似ているそのむなしさは、
十代の頃からずっと私のそばに付いている。
今日は
坂道をのぼり、坂道を下りた。
むなしさより心安らぐ幸福感を感じた。
なぜだかわからないが、笑顔の自分に気づいた。


かくれんぼうかな?!

路地の片隅、野良猫がいました。
水と餌が置いてあり、雨や風をしのぎます。
中には、赤ちゃん猫が寝ていました。
誰かの野良猫への優しい心遣いを感じました。

駅のプラットホーム

一日中いられるプラットホーム・・・。
何処かへ行きたい。行こう・・・!

また、雨だね!

雨の日に自転車を乗るのもいいね!
いつもの景色がいつもとは違って見える。
何よりいいのは、
雨にぬれながら感じる風のしずく。
冷たいけど・・・気持ちがいいね!


これから・・・

これから北国は秋に入ります。
秋に着るコートを見つけました。
風が吹くたびにコートは
ほつれていくのでしょう。

変わる風景

また、変わっていく。
前も横も後ろもが変わっていく。
建物の堂々とした高い骨組み・・・
人々の住まいになるのかな!
また、変わっていく。
あなたも私も愛もが・・・。
しかし、変わることが新しいことへの
希望に繋がる道だとは思わない。


幸福を招く開運印章だそうです。

幸福ってなんだろう・・・・・
開運ってなんだろう・・・・・
印章ってなんだろうね!

必ずしも必要なものではないと思いたい。
そう、必要としない人間になりたい。


喫茶店

低い天井、きしむ木の床、優しい笑顔の店主。
古い本、狭い椅子とテーブル、美味しいコーヒー。
久しぶりにその喫茶店へ行ってみた。

シャッターが下ろされていた。
看板もはがされていた。
頻繁に、その喫茶店へ行ったわけではないが
いつも何となく気になり、何となく・・・何故か好きだった。

寂しさを味わった。
何故か・・・とても悲しかった。

特別な音

大好きな夕暮れの光、
大好きな夕暮れの影、
大好きな豊平川、
大好きな豊平橋・・・。
ここで私は
耳では聴こえない特別な音を感じるんだ!
影が体の中へ静かに入ってくる音・・・
私の肌を優しくキスしてくるんだ!
とても優しくね・・・・・。
しばらく橋の上で立っているんだ!
橋を渡りたくないんだ!
私へ送られてくる光と影の音!
大好きなんだ。

青い瞳

布を干した。布、一枚分の空が消えた。
消えた空は地球の何処かの誰かの瞳の中へ落ちた。
昨夜、私は夢を見た。
青い瞳をしたうつくしい人に出会った。
布を畳んだ。布、一枚分の空と夢と瞳が心の中へ
入ってきた。


無い・・・

「自分だけのもの!」と言えるのはこの世に何一つない。
「自分だけの表現、感性!」と言えるのも、
何一つない。
何一つないから私はこんなことをしている。
何か、一つでも、
自分を知りたいからこんなことをやっている。
意味があるようでないようなこんなこと・・・。
そうやって私は、罪のない言葉たちを毎晩泣かしている。
そうやって私は、自由になれない言葉たちを
毎晩悲しませているのである・・・・・。


さあ、行くわよ!

丈夫な足で歩きだすのよ!
この大地はあの空と同じように広いはず。
未知の世界を知りたいのなら、
自分の足で行くしかないよね!
自分の目で心で魂で感じましょう。
さあ、行くわよ!
ぼろぼろの身軽さを感じるまで。
野原で、静かに横たわるまで・・・。


秋を前にして・・・

小さな銀杏、青葉、虫
小さな枝、青空、土が雨水の中で
眠っています。
私は
そっと小指を浸しました。
すると、
皆がびっくりして目を覚まし
一斉に私を見つめました。

「無」は
会話をしている
絵を眺めている
文字を書いて、音楽も聴く。
「無」は
料理をしている
食事をしている
洗濯ものを片付け
ゆっくり、のんびりとコーヒーをのむ。

身の回りに
「無」の存在が「無」のまま一緒にいる。
同じ空間で
穏やかな眼差しで「無」のまま
干渉しない毎日を過ごす。

何より感謝すべきである「無」の仲間たち・・・
今日は秋の光を静かに連れてきて私の前に
置いていた。


自由に語る

空は雲を
雲は空を語る。
一緒に
風を感じ
空気を吸い
一緒に自由に生きる。

空は雲を
雲は空を思う。
一緒に
月を眺め
ありのままの今を
一緒に自由に語る。

強要もなく
尊重し合える
信頼の仲、
美醜の選別もなく
平等を貫く仲、
変化を恐れず
お互いを見つめ合う仲。

共に自由に
生き語り表現する仲。

空から
雲が
一切れ雪のように
落ちてきた。

私のこころへ
自由!!と叫びながら沁み込んだ。



切りましょう

切りましょう!
長い袖を・・・。
触れないのは袖のせいよ!
私は
あなたの手が好きなの。
あなたが
私を遠ざけているのは悲しいことだが
それでも
あなたを嫌いになれない。
切りましょう!
長い夜を・・・。
見つめられないのは暗闇のせいよ!
私は
あなたの瞳が好きなの。
あなたが
私から離れていくのは悲しいことだが
それでも
あなたを嫌いになれない。

理髪店の店主がコーヒーを注ぎながら
私に言ったの。
髪切りはうまいが、
それ以外は何も切れないって・・・。

人生は見えないことだらけね!
でも、
見えないからいいこともあるよね!
見えないからよくないことは、ないかもね。

もう、切ることはやめましょう。
そのままのあなたで、
このままのわたしでいましょう。

何があってもあなたは大切な人ですから・・・・・。

木のような友
友のような木。
大好きです
大切な存在です
大きく大きく育ちます
大きな大きな友情を実ります
大丈夫!大丈夫だよ・・・友はいつも
そう言っています。
ありがとう!ありがとう・・・わたしはいつも
そう思っています。




クリーニング

他店で落ちなかったシミ、当店でも落とせません。

飛べる鳥

鳥が飛ぶ
鳥が空を飛んでいる
飛べる鳥は自由なの?
私は飛べない
私は空を飛びたくもない
飛べない私は不自由なの?
飛びたくない私に
インチキな羽を被せないで。
鳥が飛ぶ・・・飛べるから飛ぶんだよ!
羽?!・・・・・
体で、飛んでいるんだよ。

過去

ついてくる・・・いつまでもどこまでも。
置き去りにしたつもりなどないのに
毎晩呼び続けている。
時は戻らず止まらず前へ進んでいるのに
過去はそれが嫌みたい。
高く高く思い出を積み上げ、
何かを私へ伝えようとしている。
今は、わからない・・・
それが何なのか・・・過去を上ってみるしかない。

一本分の儚さ・・・また何かをひとつ消した。


炬燵


LA STRADA: 君の声?!

LA STRADA: 君の声?!: 声を掛けられた 「少し休んで行けば!ここにある本、 全部あなたに貸してあげる!」 少女はハンモックを揺らしながら 静かな声で私に言うのであった。 私にはただの壁紙にしか見えない・・・。 時々、うらやましいと思う 無所有、無欲の 人形の世界が。 ...

LA STRADA: 窓Ⅱ

LA STRADA: 窓Ⅱ: わたしのいる部屋の窓は 生きています。 わたしのいる部屋の窓は 話も出来ます。 わたしの全てを 誰よりもよく知っています。 誰よりも理解し、 一緒に考え、悩み 何気ない一日をショールのように 優しく包んでくれます。 わたしは わたしの部屋の窓が好きです...

窓Ⅱ

わたしのいる部屋の窓は
生きています。
わたしのいる部屋の窓は
話も出来ます。

わたしの全てを
誰よりもよく知っています。
誰よりも理解し、
一緒に考え、悩み
何気ない一日をショールのように
優しく包んでくれます。

わたしは
わたしの部屋の窓が好きです。

他の誰よりも好きです。


閉められた窓の中で
心の窓を開けてみました。

長い一本道が見えました。

監視者

光る道路、走り去る車、一人もいない通行人。
雨の降る夜、密かに現れる不審者。
私は拳を握りしめ思いっきりぶつかってみる。

私はわかっている。

ぼろぼろになるまで負けてしまうことを。

気圧にやられ眠れず、外ばっかり眺める。
少しだけいい気分だ
少しだけ安らぐ時間だ

外の世界の見えない世界がそこにある。
私の目がそれを探しているのがわかる。

少しだけ賢くなれる瞬間だ・・・・・。

君の声?!

声を掛けられた

「少し休んで行けば!ここにある本、
全部あなたに貸してあげる!」

少女はハンモックを揺らしながら
静かな声で私に言うのであった。

私にはただの壁紙にしか見えない・・・。

時々、うらやましいと思う

無所有、無欲の
人形の世界が。

彼は・・・

彼は歌っていた
ギターを弾いていた

彼の影は歌っていなかった
ギターを弾いていなかった

岩の隙間に挟まれた子羊のように
鳴いていた。

連結

電線が余っています。
知らない者同士を繋ぎ
知らない家々を繋ぎ
私の大切な物語まで繋いでいます。
電線が余っています。
また空の下の誰かを繋ぐことでしょう。
しかし、繋げば繋ぐほど孤独は増えていくのでしょう。

視線Ⅵ

モノの眼は
人間の眼より人を見つめている。

雲Ⅳ

雲のない空はコーヒーのない人生です。

何処へ

友達の悲しみの中へ
庭先の枯れ葉の上へ
野良猫の眼の奥へ
逃亡者の背中の後ろへ
失業者のパンの中へ
穴の空いた寒いこころへ・・・・・。
月は
一つなのに、
月は
いつでもどこへでも
誰の元へも行くのです。
神様より愛に満ち溢れているのです。

雲Ⅲ

雲のない空は珊瑚のいない海です。

雲Ⅱ

雲のない空は瞬き出来ない人形の顔です。

雲のない空は鳥のいない森です

造られた街

造られた街へ
作られた私がいる。
私は
今まで、
そして、これから
何を作っていくのかな・・・・・。

命令

愛し合いなさい!

愛で
この世を実らせなさい!

実りの愛を収穫し
私の前へ供えなさい!

愛し合いなさい

愛し合う相手が
いないのであれば、
わたくしから
相手を
差し上げましょう・・・。

その前に、
あなたの
愛の品種を
調べるので、
あなたの心を
わたくしの方へ
よこしなさい!


意識

いまにでも
折れそうな
細い体の中には
計り知れない宇宙の
本質が宿っている。
破壊の力へ
呑み込まれても
姿なき魂が私たちを育む。

意識が
潰されるまで
枯れ果てるまで
本質を直視したい。


覚めないように































夢見る
夜を
長く
引き伸ばし、
夢去る
明日を
短くしておくれ。

花びら一枚
枕へ落とし、
涙の香水で
夜を
酔わせておくれ。

夢見る
夜を
色とりどりの
歌声で
私から
奪わないでおくれ。







暴く






























何も
つかめないことを
わかっている。

誰も
振り向かないことも
わかっている。

いつも
同じで、
同じではないことも
わかっている。

何かが
優しく、
厳しく叱っているのも
わかっている。

私の
全エネルギーが
腐敗した世界から
脱出しようとすることも
わかっている。

何もかも
わかっていながら
何もかも
わかっていないふりをしている。

この手で
私を
暴きだしたい。

じっくりと、
徹底的に・・・・・。