詩のない世界

言葉が
私の
心の中から
遠くへ
離れて行ってしまった。

待ち続けていても帰ってこない

言葉を
裏切った私は
もう二度と
言葉に逢えないのだろうか

心が寒い
とても寒い

私は
濡れた雪道に座り
両手で雪を掴み
汚れた心を磨こうとしたが
雪の真っ白な優しが怖くなり
走り逃げ去った
・・・・・
自分の愚かさを知った

心が寒い
とても寒い

詩のない世界は
地獄より恐ろしく
天国より儚い

詩のない世界は
愛のない世界

言葉がなけりゃ
詩を書けないだろうか
言葉がなけりゃ
詩を唄えないだろうか

心が寒い
とても・・・

しかし、
私の
傍にいる
あなたは
とても温かそう。

何故か私、
悲しくなるけど
もう、
あなたからは何も貰えないよ

失くした言葉が
いつか
雪と共に
帰ってくるのなら
この悲しみは
消えるのだろうか

凍るほど冷たい
この心を
冬は笑う・・・
くそ悲しい、
美しい笑顔でね。








立ちくらみ

酸素
原子番号8
お前は

何処にいる?!

乱れている私の脳を
青く塗りつぶして!

片目を突っつく
耳鳴り鳥を
今夜
この手で
捕まえてお前にやる。

半透明の
お化けになって
今夜
白い言葉をお前に
教えてあげる。

残りの力が
とろけてしまう前に
私を
抱いて、
私の中に
入って・・・深く、深く・・・




蚕と糸車

家の隣にある小さな橋を渡ると
桑の畑があります。

私が飼っていたカイコは
桑の葉が大好きでした。
私は毎日カイコの世話をしました。

ある日、
カイコはわたあめのように
ふわふわと膨らみ、
白く丸く体を変えました。

マユの中で、
一回
体をきれいにして、
もう一度
生まれ変わるのでした。

不思議な
不思議なことです。

熱を出し、
怖い夢から目を覚ました
ある日のことでした。
母の姿を探すと、
うす暗い小屋の中で、
窓を差す僅かな光を浴びながら
糸車を回していました。

母は太い指先で
白い糸を紡いでいました。

白い糸は
私が飼っていたカイコです。
羽が生えるのを
ドキドキしながら
待っていたのですが
カイコは白い糸になりました。

泣いている私に母は
こう言いました
カイコは羽が生えても飛べないの!
何回も生まれ変わるけど、飛べないんだ!
でもね、
やわらかなきれいな糸を
私たちに残してくれるの・・・
そして
その糸は大事なお金になるのよ!

カイコがお金になるなんて
・・・・・
不思議な
不思議なことでした。


私が今思うことは
自分では自分を何回も作り直せないけど
せめて、一日ほんの少しだけでもいいから
自分が良いと思う方向へ進んでいけるように
努力することです。
多分、
カイコのように
何度も生まれ変わることは出来ませんが
新しい気持ちで日々を過ごしたい。
その中で、
まだ、逢ったことのない自分に
いつか出逢えることを願いたい。


その場所

天国でも
地獄でもない場所

天使にも
悪魔にもなれない場所

月も星も太陽も
会話の出来る場所

魂が集まり
魂が住み着く場所

その場所に
ラクダはいます
その場所で
ラクダは魂と暮らしています

ずっと
そう信じていました
ずっと
そう思っていました

私とあなたも
いつか訪れる場所

愛と憎しみを
金銀の嵐に変える場所

朝も昼も夜も
地平線を眺める場所

その場所に
ラクダはいます
その場所で
ラクダは魂を見守っています

ずっと
そう信じていたいです
ずっと
そう思っていたいです

過去も未来も
現在もない場所・・・

ラクダの長い、
長いまつげに包まれ
遠い、
遠い宇宙の声を
聴きいれる場所・・・

その場所は
砂漠です。

ある夜の消しゴム

いつかの
クリスマスの夜、
私の枕元に
大きな消しゴムが
置いてあった。
それは
サンタクロースからの
クリスマスプレゼント。

消したい記憶を
自由に消せる消しゴム・・・

私は
ゆっくり、
静かに降る雪を見ながら
ゆっくり
静かに記憶を消していた。

悲しかった記憶
悔しかった記憶
寂しかった記憶
怖かった記憶
夢見た記憶
嬉しかった記憶までも
一つ一つずつ消していた。

消して消えゆく記憶は
とても切ないことだっと感じながら、
沢山の記憶を今まで消してきた。

しかし
不思議なことに
消しゴムは
段々大きくなっていく・・・
・・・・・
今夜
私は
窓に映る横断歩道の
信号機を眺めながら考えた。
もう、
消しゴムは
サンタクロースに
返そう・・・。

私はこの頃、写真を撮りながら思うことがある。
見たい、感じたい、憶えていたい、忘れたくない・・・
一日でも長く自分の心に残したい。
その気持ちが表現に繋がっているのか
繋がっていないのかは
別として・・・。
正直、自分の眼や自分の記憶が不安だが
その不安を紛らわすために逃げたりしたくない。
わざわざ消したくない。
言葉からも逃げない
記憶からも
自分からも
人からも・・・そうしたい。
瞬間を大事に生きる為に。








私は木を見る

葉を揺らす森の風
土を濡らす森の吐息
鳥を歌わす森の魔法

幼いあの頃、
私は、
森の中で
何を見ていたのだろう・・・

山の
湧き水を供え、
大きな木の下で祈る母は
何を祈っていたのだろう・・・

母の手をつないで
山から下りた時、
森から出た時、
私は後ろを振り向いた。

確かに、
動いていた
・・・一本の木だけが
・・・母が
祈りを捧げた
その木だけが・・・。

私は木を見る
大人になっている今でも
見続けている

あの頃の私が
今の私に
見続けさせているような気がしてたまらない。

私は木を見る

しかし、
見えていないのだ。

実は、
何も
この目で見てはいないのだ。




夜の欠片

青く白い欠片の降る夜、
私は
3本の
燃えそうな赤い薔薇を
眺めていた。

片目を片手で隠し、
もう一つの
片目を大きく開き、
しばらく、
静かに
眺めていた。

悲しいこともなく、
泣きたい気持ちでもないのに
涙が
零れ落ちた。

不思議な夜だ
寒い6月の夜だ

そして
夜の欠片、
薔薇の棘が
こころと眼を刺す
とても
痛い
夜だ。



さよならしてみました

さよならを
告げる相手も
さよならを
残し去る
街もないのに
さよならと
つぶやきながら
さよならしてみました。

愛する人も
逢いたい人もいないのに
愛してる
逢いたいと
つぶやいてみました。

つまらない、
憐れな、
寂しい人生です。

うそつきの
悲しい人です。

信じない、信じたくない

何も信じない
自分の眼で見たもの
耳で聞いたこと
口で言ったこと
感覚さえ信じない。

何も信じたくない
世界の出来事も
魂の言葉も
愛の詩も
自分の心さえ信じたくない。

何も信じない
労働の汗も
回る時計も
正義も
未来なんかも信じない。

信じたくない・・・

私、
信じることが怖い
とてもとても怖い。

片言日本語

かたことが、
がたんごとん。

かたむいて、
がたんごとん。

あれ?!
日本人じゃないの?
あれ?!
何処の国の人?

かたことが、
がたんごとん。

ゆらゆらゆれて
がたんごとん。

あれ?!
・・・・・
・・・・・。

どうしても
日本語の意味が
わからない時がある
どうしても
日本語で思うことを
伝えられない時がある
それは、
私が日本人じゃないからではない
・・・そこから、
逃げようとしているからだ。


不思議な世界

毎日夢を見る
見知らぬ人
見知らぬ街
見覚えのない風景などを。
その人が
好きになったり
嫌いになったり
その街で
彷徨ったり
暮らしたり
その景色を
眺めったり
悲しんだり・・・
夢の中で
私はいつも弱弱しく
何かを探しているよう。
私はいつも遠慮しながら
何かに振り回されているよう。

抜け出したい
自分を縛り付けている世界から

毎日夢を見る・・・
現実と変わらない夢を見続けている。
毎日の朝、
私は何とか始めようと綺麗に布団を畳む。
強く生きようと固く誓う。

この
不思議な世界を
斜めでもいいから
一人ぽっちでもいいから
自分の足で歩いていきたい。

毎日が
不思議な世界を生きる。

理由はわかりません

見ない、見たくない
左の眼が逃げています
何が
見たくないのか・・・わかりません。

見たい、もっと見たい
右の眼が歩き回っています
何が
見たいのか・・・わかりません。

二つの眼が喧嘩しています

もうすぐ、
左の眼は望む通り
見なくて済むのでしょう。

寂しくなった、
片方の右の眼は
何かに
気付くはずです。

私は、
今、
それが、
少し怖く、少し切ないです。

そして、
少しの少しだけ嬉しいです。

理由はわかりません

帰り路

疲れた一日を慰めてくれているのね!

今日も沢山汗をかいて働いたんだ。
手の指が膨れ上がって痛いけど、
少しだけ嬉しい気持ちになれるの。

働ける身体に、
周りの人々に、
社会に、
あらゆる環境に
感謝しているの。

嫌なことだって、
悲しいことだって、
怒りたいことだって、
辛いことだってもちろんあるよ!

でもね、
仕事を終え家へ帰る路、
しばらく立ち止まり
あなたを眺めると
何故か胸がいっぱいになるんだ!

自分でもよく理解できないが
何故か笑顔になれるんだ!

だからね、
まだ、
西の彼方へ行かないでね!
あと、
もう少しだけ
見上げていいでしょう?!

あなたも
わたしも
今日もお疲れ様。

形のない愛

見せようとしている
見せかけようとしている
形のない愛を・・・

見せびらかしている
本物だっと主張している。

無邪気で
無条件の愛には
形などないはずなのに、
見ようと
触ろうとしている。

深まってゆく闇の中
深まってゆく裏切りの中
深まってゆく秘密に目を瞑り
さらに強く愛を叫んでいる。

品物のように
新たに作ろうとしている・・・

それは、
自分を破滅させる
愚かな者の危険な芝居、
最も哀れなうそつきである。




パン工場

パンを食べた
小麦の匂いがした
牛乳を飲んだ
乳の匂いがした

私は

パン工場で働いた
住む家が無くて、
宿舎のあるパン工場で
一日12時間動いた。
ひたすら載せる、
ひたすら混ぜる、運ぶ
載せる、混ぜる、運ぶ・・・
全身白づくめの私は
私ではなく、
まるで小麦粉のようであった。
ある冬の夜、
何も持たず逃げ出した
本も日記帳も置いて
暗闇の地獄から逃げ出した。
夜が明ける前の
工業団地の色を今でも覚えている
死の灰色を・・・。

パンを食べ終わった
私は
何故か泣いていた
こんな自分が
とても嫌だけど、
何故か泣いてしまった。

蜘蛛の巣

まだ、
光っていた。

まだ
生きていた。

米粒より小さな黒い目は
微かに空を見上げていた。

ガーベラの花びらより小さな体は
ゆっくりもがいていた。

その
となりには死んだ蛾が
落ち葉のようになびいていた。

蜘蛛は
姿を現せないまま、
遠い何処かで笑っているが、
何故か、
とても悲しいそうだ。

糸に絡まる、
北の
冷たい風・・・
糸に絡まる、
小さな命の
儚さ・・・

まだ、
生きていた・・・





詰まっている

叫びたい
雷のように叫びたい
正直に
伝えられない思いを
叫び散らかしたい

泣きたい
波止場にしがみつき
砕けるように泣きたい

人と人の
関係を理解し、
人と人の
関係を受け入れようとしているが、
痛い・・・痛い。



帰る

一つの月
数え切れない星
私の心を照らす光。
一つの名前
数え切れない声
私の心を泣かす思い出。
こんなにも地上は
美しいのに、
こんなにも地上は
優しいのに、
どうして悲しいんだろう・・・
どうして、
胸が痛いんだろう・・・

私は
砂漠の一粒の砂、
オアシスへ運ばれたいと夢見る
無知な壊れた石。
自由に流れる風に憧れ、
思いっきり飛んでみたが
自由に心を切られてしまった。
風が笑う・・・
私を
丸裸にさせて風が高らかに笑う。

一つの国
数え切れない偏見
私の心を閉ざす言語。
一つの私
数え切れない私
私の心を試す私。

こんなにも地上は
広いのに、
こんなにも地上は
生きているのに、
どうして苦しいんだろう・・・
どうして、
息が出来ないんだろう・・・

私は
ごみ箱の紙くず、
希望を乗せた紙飛行機を夢見る
身の程知らずの馬鹿野郎・・・。
分かち合える心に動かされ
全てを放してみだが、
信頼に大切なものを切られてしまった。
心が泣く・・・
私を
丸裸にさせて心が静かに泣く。

一つの愛
一つの友情
一つの夢
一つの詩
一つの道
一つの真実
一つの世
一つの人生・・・
数え切れない間違いと
数え切れない別れを繰り返しながら
私は
私へ帰る。

敵でもあり味方でもある私へ帰る・・・

水平線

細い線一本で
空と海が離れています

細い線一本で
あなたとわたしが別れています

永遠に
交じり合えないのでしょうか。

細い線一本から
赤い火の玉が赤い血を吐き出しています

細い線一本から
昨日と今日が明日を創り上げています

永遠に
繰り返されるのでしょうか。

あ・・・
白いカモメが
くちばしに細い線をくわえ
ゆらゆらと彼方へ飛んでゆきます。

・・・打ち落としましょうか?!
それとも、
見続けましょうか?!



仮想の世界

私は信仰者でも瞑想家でもないが
時々、
私の魂が神様に尋ねるんだ!
「この世に、善良な精神で生きる人間はいますか?!」ってね。
神様は言う
「・・・祈りなさい!私ではない、
あなた自身に祈りなさい!そうすればわかるはず!」
神様は逃げ隠れるのがお仕事!
答えも提案も解決も、
何もしてくれない。
だから、神様なのかな・・・。

私は日々
精神というものを強く意識しながら生きている。
意識しても精神は無意識の領域が深いので自分には
コントロールする事が出来ない。
そう、不可能に近い・・・

しかし
微かに感じる。
精神のささやきを何処からか感じている。
その声は
昔から聴いていた声と同じ・・・孤独の声と似ている。

私は孤独を知っている
一番気の合う友達
母のお腹の中にいた頃から、
子供の頃からの長い付き合い・・・
二人きりの時は
何でも受け入れた。
喜びも悲しみも、明かりも暗闇も。
そして、善とか悪とかは
そもそもこの世には存在していないのだと確信していた。
しかし、
周りに人が増え
見る物が増え
所有が増え
考えが
言葉が増え、
私は説明できない苦しさを味わった。
少しづつ
心を壊した私は、
仮想の世界へ出かけるようになった。

その世界では
心が見えるので言葉がいらない
心が見えることで苦しむ事も争う事もない
その世界では
丸い魂が触れ合えるので傷つける事も
傷つけられる事もない。
生きる喜び、
悲しみの様々な感情表現が孤独と抱き合い踊れる。
そう、
ありとあらゆる全てが抱き合い踊る・・・

その世界の
それらは
愛でも芸術でもない
歌でも詩でもない
偽りのない裸の精神・・・
善良か悪か
美しいのか醜いのかそんな事で揉めない。

今の
現実の世界に
私の仮想の世界を重ね合わせる。
・・・大して変わらない!
わからないが・・・変わらない。

受け入れるか、
受け入れられないか、
その違いだけ・・・。
何を?!
・・・・・今、
その、声を聴いてみる。

何が欲しい?!

考え込まない考えが欲しい
悩み込まない悩みが欲しい
飢えて叫べない叫びが欲しい
私以外の私と、
あなた以外のあなたが欲しい・・・。
欲しいものを欲しがらない
欲が欲しい
矛盾しているこれらの
言葉を消し去る、
真の心が欲しい・・・

言えない・・・

知っているとは言えない・・・
自分自身のことを
知っていると思いながら、
実は、
何も知らない。
それなのに、
他の人のことを知っているとは言えない。
否定するとも
肯定するとも言えない・・・
何も
何も言えない。
・・・
だから、
私は言わない。
だから、
私は私なりの表現をし続けている。
まずは、
自分を知るために・・・。

覚ます、覚まさない

体を覚ます
眼を覚ます
頭も覚ます
心は覚まさない
想像も
愛も
夢も覚まさない
現実から
現実の世界を
覚まさない者でいい。
愚かな者でいい。

息をする

あなたの空気を吸い込み

あなたの空気を吐き出す。

生きる為に

生きていることを

感じる為に

わたしはあなたの空気を吸う。

一体、

わたしの周りのどこにあるのか

わからないまま

見えないあなたを吸い続けている。

これは、

永遠の片思い・・・

息をする・・・

生きる為の

切実な息をする。

肺に伝わるこの痛みは

あなたという空気のせい・・・

それでも

わたしは

息をする。

・・・息が 

消えるまで。

ひとつの海・・・

あなたの深い優しさで
わたしの深い傷が治りました。

あなたに逢えて
わたしは
わたしにも逢えました。

わたしが見た海・・・
少年時代に見たあなたの海・・・
時間を超えて、
今、
ここで、
ひとつになり
青く青く広がっています。

あなたと
わたしの目の前に、
心の中に・・・

あの少年は
あなただったのね!

それだけです。

これは、
私の
心の中にあります。

私の体、
全ての感覚、感性を
支配しています。

これは、
私の
頭の中にはありません。

私の理性、
全ての理屈、思考を
破壊しています。

今日も、
これは、
私をとことん追い詰め
恐ろしい力で
私を突き落としました。

深い井戸の中へと・・・

宇宙の
どのような法則でも
これを
理解するのは
不可能なことです。

これは、
生きる原理、
憎しみの種、
生きる希望、
憎しみの炎・・・・・

私は
愛を
愛したいです。

ただ
それだけなのに・・・

ただ
それだけなのに
愛は
私を
愛してくれません。

それでも、
愛したい
愛し続けたい。

これは、
唯一
私の
心の中で
生きている
生き物ですから。




温室へ・・・

北風に
切りつけられた唇が
凍り付いたので、
重い冬の雨に
打たれた頭が
砕けたので、
私は
温室へ行った。

荒れた唇を
優しく
くちづけしてもらう為に、
痛い頭を
優しく
撫でてもらう為に、
私は
温室へ行った。

かび臭い温室の中、
湿っぽい温室の中で
私の体は
水滴になり、
全ての機能が
一つの世界へ開いた。

自然に・・・
自然に・・・
静かに
開いた。

知っています

海が
運んでくる
白い
泡は
逢えない人の
愛する
魂です。

触れると
消える
切ない
幻のような
ものです。

海が
連れてくる
青い
波は
あの世の人の
いとおしい
歌声です。

聴いていると
沈みそうな
不思議な
重力のような
ものです。

海が
私に
繋げてくれる
一つの
真実への道・・・

それを
私は・・・・・
知っています。

夜中3時

二つの眼が
眠らず
何かを探していた

色のない
透明な
何かを
欲しがっていた

わかる・・・
私の眼だから・・・

小さな灯りを点けた
壁に
大きな影が現れた
私は
その黒い影を触った

黒いのに
何故か
透明な海月のようだ

私は
起き上がり
水を飲んだ

そして
ルーミーの
詩集を取り出し
読み始めた

すると
どうしてか
文字が滲んだ

仕方がないので
ベランダへ出た

寒くて
冷たくて
体が震えた

しばらく
しばらく
遠くを眺めた

二つの眼が
私に囁いた

素敵な暗闇ね!ってね・・・・・

夜中の3時
静かな時間
静かな風景

私は
部屋に戻り
次は
コーヒーを飲んだ

そして

どうでもいいことを
書いている。

木曜日の心

たどり着けない場所が
あります

一番近くにありながら
遥か遠いところにあります

歩いても
歩いても
遠い
遠い世界
・・・

長い旅路を
照らす
月明り

月明りの下で
彷徨う
悲しみの意味

悲しみを抱いて
木陰で眺める
優しい空の顔

私の心は
この地上を愛しながらも
私の心は
この地上を憎んでいます

そんな
心は
何処から
何故
生まれてくるのでしょうか・・・

もう一度
歩き出します

とても
複雑な迷路のようです

まだまだ
歩き出します

心の道を・・・・・。

天秤

止まらなく揺れ動く天秤

願わない方へ傾く天秤

愛の秤を拒否する天秤

憐れな期待、暗い不安

心のメロディー、心の叫び・・・

耳の鼓膜が破れそう。


小刻みに震える天秤

沈み落ちていく天秤

わたしの愛を消し去る天秤

無意味な夢、愛想笑い

心の踊り、心の狂気・・・

私の中心が崩れそう。


どちらかを選べない

選ばない

私には

そのような権利などない。

最初から

わかっているから・・・・・。

また、白い朝に・・・

朝の雪
朝の窓
朝の吐息
朝の湯気
白い
白い

昼の月
昼の煙草の煙
昼の疲れ
昼の食パン
白い
白い

夜の星
夜の手紙
夜の豆腐
夜の顔
白い
白い

真夜中の頭
真夜中の心
真夜中の体
黒い
黒い

夜明け前の霧
夜明け前の日記
夜明け前の烏
夜明け前のサイレン
・・・・・
白い、
白い朝になる。

多分・・・

瞳の中へ
木を植えました

すると、
涙の泉の底へ
根っこが伸びました

枝は
静かに
静かに
心臓へ
鳥の巣を作り、
一匹の
小鳥を
育て始めました

小鳥は
歌いました

私の
心臓を突っつきながら
歌いました

私の
胸が
時々痛いのは
小鳥のせいです。

人生はサーカス

幼い頃
初めて
母と橋の下で観たサーカス・・・

私の
想像していた世界が
現実にそのまま現れた不思議な世界

悲しくて
怖くて
楽しくて
可笑しい・・・

とても美しくて
とても切ない

大人になったら
サーカス団に入り
町から町へ旅をしたいと思っていた。

私の夢は叶わなかったが
夢の心は
今も
何も変わっていない。

毎日、
フェデリコ・フェリーニの
夢の世界を歩く

彼の映画は
私のすべてを代弁している

子供の頃からずっと
私の中で
話しかけているピエロ・・・

その顔は
彼の映画の色んな場面から
登場する人物たち

色んな
自分の顔
色んな
自分の心・・・

私は
一人だが
一つではないのだ。

だから
多い悩みも
多い悲しみも
足りない愛も
足りない善も
いいと思えるようになった。

人生はサーカスだと
思い続けたい

人生は
決して
明るくて楽しいものではない

愛の別れのように
人生は
切ないものである

その
切なさは重い苦しみではなく
サーカスの終わりを告げる黒い幕

閉ざされる幕は
まだまだ
続くための幕である。


関係

海と生命

自然と愛

夜空と夢

星と希望

詩と孤独

月と心

瞳と嘘

真実と誤解

戦争と金

セックスと本能

嫉妬と慈悲

宇宙と地球

チベットと過去

樹と精霊

写真と言葉

Google+と私

あなたと魂

冬と片頭痛

煙と魔法

傷と歌

絵と悲しみ

雨と夕暮れ

猫と芸術

空想と瞑想

祈りと願い

・・・・・

・・・・・

強要

あの道
この道
その道

あの人
この人
その人

あの愛
この愛
その愛

あの音色
この音色
その音色

あの神様
この神様
その神様

一つだけを
強要してはならない

あなたに
わたしに
一つだけを
求めてはいけない

あの意味
この意味
その意味

あの欲望
この欲望
その欲望

あの自由
この自由
その自由

あの影
この影
その影

あの現実
この現実
その現実

一つだけを
強要してはならない

あなたに
わたしに
一つだけを
求めてはいけない