私のブルース

地球は動き回っているのに、
私は立ち止っている。

めまぐるしく早送りされ
つまずく事さえ出来ない。
繋がりを求めながらも
面倒くさがる捻くれ・・・
矛盾している。

少し、ほんの少し、巻き戻したい。
話す言葉も、
少し、ほんの少しゆっくり、
分かりやすく、率直に・・・

出来損ない仕様もない、
私のブルース。
 

  
鷲掴みされ捨てられちまうまえに
あの、豊平川へそっと流してやりたい。

上を目指し、のぼり続けていたら
川は、下を目指し流れていた。
金儲けしようとしていたら
野良は命がけで、
今を生きていた。

私のブルース、
出来損ない仕様もない。

私のブルース、
一番の悲しみ、
それは・・・・・

私は貴方を求めているのに
貴方は私を求めていない。





病院清掃員

磨いていました。
拭いていました。
掃いていました。
集めていました。
分けていました。

やっても、やっても
終わらないです。
やっても、やっても
きれいにならないです。

毎日のように
葬儀屋の人は
業務用エレベータで
死人を運び、
毎日のように
白いガウンの人たちは
非常階段を駆け回っていました。

そして、毎日のように
微笑ましい産声が響き渡っていました。

優しい病人の眼差しは
悲しいものでした。
ヒステリック看護師さんの
横目は冷たいものでした。

ここは、
世界一 忙しい所で、 
世界一 人間の本質を
表わす所です。

古ぼけたモップを
新しく換えました。

ひび割れた指先、
尿検査室の鏡を磨いたら
映っていました。

病院清掃員、
私の顔でした。

幸福のような
不幸のような
私の顔。


磨いていました・・・


 

シャーマニズム

ある日、チベット死者の書を読んだ。
私の中にあるなにかが、
少しずつ繋がっていくような気がした。
無意識、意識の世界、生と死・・・宗教

小さいときからお母さんに連れられて、山奥のお寺や神様の宿る自然の中を行ってた。
私には仏様も精霊も他の神様も見えない。

自然の中、”その中”・・・が 
とにかく怖かった。

私が小学校3~4生頃、突然お父さんがおかしくなった。
お食事の時、白いこはん粒をみて叫ぶ。 う、う、うじ虫・・・!!!
その日からお父さんの目に映る全ては恐怖の対象に
変わっていた。
寝たきり状態のまま、なにかに魘されてうわごとを言う。

‘‘その中” の怖さを感じた。

数日後、ムーダン(シャーマン、イタコ)が家に現れてシャーマニズムの儀式が行われた。
何かを称えながら体を激しく揺らしはじめる。白めになり打ち鳴らす鼓音、
トランス状態になり刃渡りの曲芸がはじまる。
裸足のまま刃の上で剣舞・・・・・
恐ろしかった。
だが、美しかった

3時間くらい儀式は続いた。最後、ムーダンはお父さんの頭を優しく撫でて、
嘘みたいにお父さんは治った。

益々お母さんの信仰心、シャーマニズムは深まっていた。

未だに私には分からないが、未だに私から切り離せない最も重要で大切な事。

チベット死者の書を読み終わって慰められった、様な気がした。

思想とか哲学、宗教  
人間世界から、自然世界から生まれている。宇宙の世界も含めて。
よく、知らないけど。

人間以外の他の動物達はどうなんだろう?

彼らにもシャーマニズム、シャーマンはいるのかな?



 

コーヒーをめぐる冒険

朝、娘を幼稚園に送り出して、映画を観た。

何だろう~この親近感は。

ちょっぴり虚しさも感じた。

主人公と似たような事が時折私にも起きる。

どうでもいい、面倒な、訳の分からない理不尽、その上

何事にもついてない変な日・・・

最後の場面、

あったかいコーヒーを口の中にそそぐ "boy"

ほっとした。



夕暮れ

もいわ山が

豊平川が

ラーベル教会が

日雇いの背中が

染まっていく。


訳もない悲しみは

オレンジ色の空に包まれて

桃色綿雲に溶かされて

西へ、西へと

昨日も、ずっと前も

明日も、ずっと先も

私達を染めっては落ちて行くでしょう。


貴方の住んでいる街

貴方の瞳に染まる

夕暮れの情趣

いつか、私に聞かせて下さい


夕暮れ

もし、訳もなく悲しくなったら

橋の上でお会いしましょう。

捨てた故郷

北の列車に乗ろうかな、
南の列車に乗ろうかな

父さんも
母さんも居なくなった。
犬もネズミも、
猫も居なくなった。
兄さんも
姉さんも居なくなった。

私だけが、残された

家も無くなった
お米も無くなった
お金も無くなった
ゆめも無くなった
二十歳も無くなった。

体だけが、残された

山に、海に、河に
野原に別れを告げた。
友たちに別れを告げた

2月の冷たい夜雨
駅のプラットホーム

とこに行けばいいのやら、
何をすればいいのやら

もう、二度と帰るもんか
もう、二度と思い出すもんか

さようなら!!

捨てたはずなのに・・・
毎日、毎晩故郷の夢を見る。

故郷だけが、いつも
いつまでも
そこにある。

私の帰りを待っているかのように。

 女主人

言葉が分からず、ただ椅子に座り微笑んでいました。
締め付ける着心地の悪い格好
真っ赤なハイヒール、
どうみてもやぼったいわたし。
恥じらいを隠し切れず微笑むのは
つらい事でした。

時々、女主人は目を配り、様子を見ていました。
何を食べてあんな巨大な体になったのか・・・
椅子三個分、それでもお尻ははみ出しています
誰かが、メリー・ジェーンを歌い叫んでいました。
わたしは女主人の強い力に引っ張られ
あっという間に
男の懐に抱かれる羽目になりました。
男は興奮し過ぎて、思わず
入れ歯を落としてしまいました。
メリー・ジェーン男は拾おうとしましだが
腰の骨を折りました。
救急車に運ばれていたのです。

いったい、どういう事でしょうか!!

斜めのテーブル、男と女連中、
何やら下ネタを言っているらしく
女主人は涙まで流しながら
笑っています。
皆、狂ったように笑っています

女主人の裾にたばこの火が移り燃えているのに
笑っています。

激しく燃えていく女主人を見てたら、
可笑しくて、可笑しくて
わたしは笑ってしまいました。

いったい、どういう事でしょうか?!

釜山、月見の丘

丘の上から海が見える
海の向こうには地平線が見える
地平線の先には楽園がある。
楽園の人々達は愛し合い、
媚びず諂わず暮らしている。
ここから私、
逃げ出したいの。
哀れな運命の鎖を
切り落として・・・


丘の上から煙突が見える
煙突の向こうには
工業地帯が見える。
工業地帯の隣には
労働者の宿舎がある。
そこから私、
夜逃げしたの。
大事なラジオカセットを
置いたまま・・・

丘の上から月が見える
月の上から私が見える

私から私へ、
何も、何も見えない。

でも、私行くの
きっと、笑える日を信じて・・・・・




釜山のダルマジウォンドック(月見の丘)は
へウンデ海べにある。

工場での12時間の労働は辛かった。
働けば、働くほど心が溶けって無くなりそうで
怖かった。

いつも仕事の送りバスを乗らず丘へ行った。
海を見つめていた。
・・・・・・・
いま、
私は日本にいる。
あの、海を越えて来たのである。

 

お正月

今日は韓国のお正月。

故郷がちょっぴり恋しい。

創成川柳

お前は気付かないふりをする。
なぜなら、盗人だから
形のない欲望の品物
何一つお前を満たさない。
裏返しのレインコートのまま
立ち食い蕎麦をすまし
行く当ても無く
創成川ほとりで立ち尽す
気付いているだろう!
どうせ、似た者同志、
おいでよ、
一晩抱き合おう。
創成川、柳の下で・・・
薄情な都会にお前を
追い込んでしまったのは
・・・・・
くっそ、あのどでかい
満月のせい。

俺は昔からお前を知っている。
なぜなら、お前の欲望だったから
高級な香水を身につけて
夜明けまでひらひら飛び回る。
もう、よしなよ!
お前の落とし忘れた、色の褪せた欠片
どれもこれも大切なはず。
おいでよ、
一晩、
燃えるように抱き合おう
創成川、柳の下で・・・

この街で生きるのなら泣いたりしないで
奪われても、一人ぽっちでも、
大丈夫、大丈夫。

振り向く後ろには柳、創成川柳・・・・・

ネズ公 男

あ、ぁ
生ぬるい吐息の
耳の尖った醜い男。

私の肺は
卑劣な接吻に攫われ
ゆっくり、ゆっくりと
縮れていく。
いっそのこと、
蝶の舌になりあんたを
巻き殺したい

小便臭い路地裏
湿っぽい愛撫の儀式
こんな所で死にたくない
鼠達の集う洞穴から
抜け出すのだ

微かに、
風を感じる

微かに、
明かりを感じる

清かな月光!

私は思わず泣いた。

もう、ひとり、
どす黒い涙の男

さらば!ネズ公男よ。




ネズ公男は綺麗なエメラルド王冠を被っていた。
なおさら、顔が醜いように見える
歩くことも出来ず、目もみえない。
尖り続ける耳だけが頼りなのだ

もし、呪われた王子だったら・・・・・魔法から解き放されていて欲しい。
世の中は不思議な事がいっぱいだ。
しかし、必然的な事でもある。
あの洞穴はネズ公男の哀れな根城

幸運を祈ります。











公園

マスターの手助けで、なんとかパソコンを始める事が出来た。

ブログの書き込みに誤字が見付かったらご指摘宜しくお願いします。


日本に来てから、ほんの僅か少しだけ成長したような気がする。

暗黒時代からの突然の日本への渡航、
一切の迷いはなかった。
最初暮らした街は長閑な景色の所で、家の近くには
若草公園があり毎日のように一人てお散歩をした。
人間以外の生き物が公園では沢山暮らしていた
初夏の木漏れ日に照らされたカラスの羽色、
綺麗。初めてカラスが可愛いと思った。
小さな野菊が咲きこぼれて、紋白蝶達は誰かの魂を
丁寧に道案内していた。
私の目には平和に見える若草公園だが、生き物達は
生と死の場所
そして、生まれ変わる場所でもある。
・・・・・

海へ山へ行きたいと思うときの私は、大抵意識(こころ)が病んでいる。
求めている所に行くべし!
執着している事や苦痛などから離れられるのはやはり自然の中

久々、一人で過ごす時間が出来た。
とても心地よい。
まだまだ札幌は寒いが近所の公園に出かけてのそのそと歩き回る

雪路の上、
猫やカラスの足跡。愛しい
それに比べると人間の足跡は何だか険しい。

春になったら、

円山公園へ行ってみたい。
















かもめさん、泣かないで下さい

薄紫の花は萎れ
花びら枯れ落ちる
恋の終わり
あなたのいない寂れた町
朝日が昇っても
瞼は閉じたまま。

生まれて初めて
惚れた人
貝殻首飾り海の匂い
しがない女だと
押し寄せる波は笑う
色褪せた波止場、沈む夕陽
・・・
帰りましょうか、あの日に
戻りましょうか、あのころに
波止場のかもめさん、
泣かないで下さい。

家なき老人に寄り添い
毛繕いしている野良猫
もう、私のことなど
見届けないでおくれ
海辺にこっそりと十五夜の月見草
足で踏み殺し
帰ります、あの日に
戻ります、あのころに。

波止場のかもめさん、
泣かないで下さい。

波止場のかもめさん、
泣かないで下さい。





人生の舞台、
いつ、とこで、幕が降ろされるかわからないが
精一杯主人公を演じ抜きたい。
自分の意思で生を終わらせるのは、
一度きりの舞台が台無し。
誰もが、何もかもが主人公
・・・・・
どうか、かもめさんを悲しみに落とせないでください。

シガレット

アキ カウリスマキ監督の映画の登場人物達は
所構わずタバコを吸い捲くっている。
哀愁漂うその仕草は、
吐き出すタバコのけむりさえ
台詞を言っているかのように勝手に私は思う
言葉に言い表せないことを見事にけむりは演じている。
このごろずっと、アキ監督の映画を
くり返して観ている。
いい。とても好きだ。




一服しようと、ファストフード店に入って
中年、年配の女性を目にすると
なぜかほっとする。
なるべく近くの席について、まず一服。

本当は同じテーブルで、
挨拶も無く、会話も無く、
お互い静かにコーヒーを吞みながら
2~3本タバコを吸いたい。
でも、そんなことしたら怪しまれる。
不愉快に思われるし
・・・・・
とにかく、タバコがすき
気の合う仲間とタバコ
さらにロールケーキとコーヒーがあれば
もう、しあわせですな。

夢の箱

君は何処から来たの?

言えないわ。

君の名前は?

忘れちゃったわ。

片言だね・・・君、国籍は?

毎晩のように夢枕は冷汗でびっしょり濡れていた。
職務質問、在留カード提示の強要
男は青白い顔で、口元からは冷気が漏れている。
恐る恐る私は何かを言っているが、
まったく何を言っているのか、わからない。

私はこの街が好きです
どうか、ここに居させて下さい
真面目に働いていますし、
それに・・・友達もいます。
これ、これを、見て下さい
夢の箱です。
こんなに沢山入っています
叶いたい夢じゃありません
願い事でもない・・・夢の箱、なのです。
私はやっと前を見て歩けたのです
ここで生きていこうと決心しました。
たから、連れて行かないで下さい
・・・・・・・。
         
東京での生活は前も後ろも見えない
霧の中を伝い歩きする日々だった。
手を差し伸べる同じ言語の人達の
脅かしは何より怖かった。

捨て猫二匹を連れて来た日から、猫と目が合う度に
何かが込み上げてくる。
重苦しい悲しみではなく、泉の湧き水のような、玲瓏な悲しみ、
その中には私が私であることへの自覚みたいなものが
ぼんやり見え始まった。

今、ここにいる私は、
夢の箱など持っていない。
しかし、鍵は持っている。
夢の箱はもしかしたら、今頃コンヤを目指して旅を続けている最中かも知れない。

前に進みたい焦りはもう持ったない
夢の箱を手放したら自由になった。
沢山の人々のおかげさまで、沢山の猫達のおかげさまで
やっとここまで来られた。

偶にあの男が現れる。
相変わらず青白い顔のまま。
でも、今はちっとも怖くない。

マリア

地上を揺らす爆音、
空を被う煙、
深い吐息の悲しみ、
救いの扉は何処に。
絶望に跪く老人、
傷だらけ幼い盗人、
自爆で飛び散る青年、
全てはこの星の出来事さ。

マリア マリア
それでも祈るよ
マリア マリア
それでも祈るよ。

世界を蝕む憎しみ、
寺を燃やす争い、
長い道のりの疲れ、
救いの扉は何処に。
墓地の前歌う老婆、
13才盲者売春婦、
無知で愚かな英雄、
全てはこの星の出来事さ。

マリア マリア
それでも祈るよ
マリア マリア
それでも祈るよ。

日が経てば経つほど
日が経てば経つほど
マリアなにも変わらない
ここはなにも変わらない。

神様は、
何も導いてくれない。
神様は
何も救ってくれない。
宗教の紛争も虐殺も
人種の差別も貧困の嘆きも 
ヘイトスピーチを
堂々と繰り返す人達に罰を下さる事もないし・・・
神様がいるかいないのか、
私にはわからない。
もし、
いるとしたら神様は平等を貫いている。
悪人も善人も10階のビルから落ちたら死んでしまう。

宗教人ではないが、祈りたい。
いつまでも祈る人でありたい。
所詮、人間は祈りを無くしたら生きていけないかもしれない。


小人の唄

あなたは大きな木
あたしは小人。

あたしの亡骸を
あなたの足元に
埋めさせてもいいですか!

焚き火を熾し
小鳥達やコオロギ達
そよ風を招き
葬式宴会はお見事でした。

長髭詩人に惑わされ
二本の枝を折り
義足を作り上げました
あたしは大きくなりませんでした。
 

ギシギシ痛みが走り
歩けないのです。

あなたを裏切った罪
あたしの犯した罪
自閉心の妄想からの
歪んだ憧れは
とぎ澄ました刃となり
あなたの心を切りつけました。

年月が過ぎて
もしもあなたの足元に
一匹の青虫が
草笛吹いて唄いたしたら
どうか聞いてください!

そして、
許してください・・・。






年月を折り畳み、いつまでも道の上
布切れの体、一本足のかかし
解れているけど君にあげるよ
毛糸編みの襟巻き、友たちの証さ。

つまずいて、立ち止って歩いて行く道
君にも、俺にも、誰にもわからない
道なき道を探し歩く・・・
正しい道なんか、地図にはないのさ。

鶯鳴く春の日、蛍火舞う夏の日
振り向くな、後ろを・・・

転がる石のように、いつまでも道の上
とんがり帽子の赤い頬のピエロ
すり減っているけど、君にあげるよ
革の靴一足、友たちの証さ。

笑われて、泣かされて、歩いて行く道
君にも、俺にも、誰にもわからない
道なき道を求め歩く・・・
間違い道なんか、地図にはないのさ。

木の葉散る秋の日、星降る冬の日
振り向くな、後ろを・・・





誰もが道の上の巡礼者である。
ありとあらゆるものによっていかされている。
手を拝みたいくらいだ。

いまだに迷い道の多い人生ではあるが、
無駄ではない。

道化師のジェルソミーナのように、
歌い、踊り、愛し・・・
・・・歩いて行くのだ。











汽笛の声

汽笛の声が好き、
お母さんが来るの。

52,53,54・・・
涙でゆらゆら
お星様、滲まないで、
光っておくれ!
もう、これ以上
数えきれない。

お母さんが来るの
列車に乗って。
お母さんが来るの
いつか、
必ず来るの。

川辺の月見草、
田んぼ畑のキリギリス
咲いては鳴いて、
風でゆらゆら。
汽笛のたより
運んでおくれ!
もう、これ以上
待たせないで。

お母さんが来るの
列車に乗って、
お母さんが来るの
いつか、
必ず来るの。


野原の向こうには、ウォンジュ駅
私の希望、絶望、過去・・・・・
全てを、今に繋いでくれた。
いつか、銀河鉄道999に
お母さんは乗って来るさ!
あのとき、私は18歳
心から信じていた。







異国の夜

異国の夜は
満天の星達が漂っても
輝いたりしない。
涙で滲むばっかりで
暗闇だけが
光っている。

私は、
勇気のない逃亡者
祈る天使の
スノーボールだけが
お供なの。

昔の私を知る者も
今の私を知る者もいない。
期限切れの
パスポート、
それだけが私。

異国の夜は
満天の星達が漂っても
輝いたりしない。
 
いつだって・・・  
・・・・・。          
夜空を見上げて、涙を流したことがある異邦人なら
きっと分かるだろう。
胸が罅割れる痛み、悲しみ。
一人ぼっちでも、恋人がいても常に寂しい
この寂しさは、人恋しさじゃない。

なるべく夜空を見ないようにしている
星が綺麗だとも思わない。
それでも・・・見上げる
言葉の要らない唯一の心の幼馴染だから。






北国へさようなら

今夜、私は北国から
離れて行きます。

あなたとなら、ずっと
幸せにいられる。なんて・・・あの頃はそう思った。

あなたとわたしの
安上がり長靴二足
とても温かかったわ。
雪が降り積もる白夜
二人は歩いたよね。

あなたを心から愛した。

できるこどなら
一番遠くへ
忘れたいから
はるか彼方へ
今やあの人は
立派なブーツを履いて、
陽気な女の胸の中で
夢を見ている。

北国へさよならするわ。

あの日の鐘の音
すすきの、中央寺
私は一人泣いていました。愛を語ったメロディー
あなたの微笑み
全てが砕け散り
心臓を突いています。

もう、あなたを愛せない。もう、誰かを愛せない。

北国へさよならするわ。

愛だなんて・・・・・
私の愛は雪に埋もれて、
凍えて死にました。