ある夜の消しゴム

いつかの
クリスマスの夜、
私の枕元に
大きな消しゴムが
置いてあった。
それは
サンタクロースからの
クリスマスプレゼント。

消したい記憶を
自由に消せる消しゴム・・・

私は
ゆっくり、
静かに降る雪を見ながら
ゆっくり
静かに記憶を消していた。

悲しかった記憶
悔しかった記憶
寂しかった記憶
怖かった記憶
夢見た記憶
嬉しかった記憶までも
一つ一つずつ消していた。

消して消えゆく記憶は
とても切ないことだっと感じながら、
沢山の記憶を今まで消してきた。

しかし
不思議なことに
消しゴムは
段々大きくなっていく・・・
・・・・・
今夜
私は
窓に映る横断歩道の
信号機を眺めながら考えた。
もう、
消しゴムは
サンタクロースに
返そう・・・。

私はこの頃、写真を撮りながら思うことがある。
見たい、感じたい、憶えていたい、忘れたくない・・・
一日でも長く自分の心に残したい。
その気持ちが表現に繋がっているのか
繋がっていないのかは
別として・・・。
正直、自分の眼や自分の記憶が不安だが
その不安を紛らわすために逃げたりしたくない。
わざわざ消したくない。
言葉からも逃げない
記憶からも
自分からも
人からも・・・そうしたい。
瞬間を大事に生きる為に。








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