私は木を見る

葉を揺らす森の風
土を濡らす森の吐息
鳥を歌わす森の魔法

幼いあの頃、
私は、
森の中で
何を見ていたのだろう・・・

山の
湧き水を供え、
大きな木の下で祈る母は
何を祈っていたのだろう・・・

母の手をつないで
山から下りた時、
森から出た時、
私は後ろを振り向いた。

確かに、
動いていた
・・・一本の木だけが
・・・母が
祈りを捧げた
その木だけが・・・。

私は木を見る
大人になっている今でも
見続けている

あの頃の私が
今の私に
見続けさせているような気がしてたまらない。

私は木を見る

しかし、
見えていないのだ。

実は、
何も
この目で見てはいないのだ。




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