沼ノ端

夕暮れの
しっとりとした風一つ、
寂しいうなじにくちづけ。

わたしに
触れないで、
構わないで、
あなたの
お家へ帰りなさい。 

小さな橋から、
一人、
静かな光を浴び、
沼で泳ぐ星達を見ていたい。

見上げる空には
雲の上まで
届きそうな煙突の塔。

白い煙は
気ままに踊り、
何処かへ消え行く。

美しい旗を煽りながら
天国へ向かう、
踊るアイヌの女のように・・・・・。

ハスカップの
唄う季節が訪れたら
お酒でも飲み、
星ひとつすくい、
あの風に持たせてあげよう。

偶然ではない
煙の空の下・・・
遠い、
沼ノ端。



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