第二の男

男のあだ名は
「複製魔王」

鯨と
私の花をあげた男を
殺した男。

鯨と
私だけの花も
殺した男。

島を滅ぼした男。

私の
眠る潜在意識の中、
何かが脳みそを
掻き混ぜる。

両手両足を
鋭い嘴に
括りつけられ
何者かが
私の
左脇腹の奥を貪る。

嗅覚を刺激する
生臭い空気を吸い
ナイフに滴る
赤い液体を見つめ
私は沈んだ。

深い痛み
深い悲しみに落ち
静かに
静かに
沈んだ。

必死で
私を呼び戻す
私の声・・・
私には
届かなかった。

私の知らない
私の住む島が生まれ
何者かに心臓を支配され、
奇妙な花が生まれた。

複製魔王に
摘まれた花は
不揃いに束ねられ
不吉を呼ぶ
罪深き者への
餌食として
投げ出された。

惨めな業を
喜ぶ者が
あちらこちらで
複製魔王の目玉を買い漁る。

素晴らしい
素晴らしい悲しみだ。

私には分かった。

手拍子をあわせ
花を踏み躙り踊る
複製魔王の正体・・・

私には
分かったんだ。

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