初恋の味

長距離バスの
行き先は
憧れの海です。

海を見たのは、
十八歳。

狂おしい白い波の
叫び声が
今でも
忘れられません。

恋の知らない私は
恋がしたくて
恋人探しに
海へ行ったのですが、
信じられないほど
誰もいませんでした。

そこに、
昔、昔からあるのは、
私を待っていたのは、
青い海だけでした。

だから、
私の初恋の相手は
海です。

砂浜に書いた名前、
「バダ」

空っぽのこころ
乾いたくちびる
疲れたからだを
彼は少しだけ、
愛撫してくれたのですが、
彼の
くちづけは、
とても、しょっぱい味でした。

忘れられない
初恋の味です。


※韓国語で「バダ」は、海という意味です。

0 件のコメント:

コメントを投稿