歩いたら・・・。

一時間ほど歩き続けた

何処かへ行きたい訳でもなく
歩きたくて歩く訳でもない。

心の中、
自分が投げられた石が
いつの間に
隙間なく埋められて
重い息を
吐き出せず
苦しんでいた。

二時間ほど歩き続けた

何が私を歩かせているのだろう
足の小指が痛い。

心の中
自分を追い込むのは
誰でもない自分。
なのに、
なぜ誰かのせいにしているのだ?
惨めな弱さ
気を張る自業自得の寂しさ

・・・帰りたい、
楽しく歩いてた
故郷の町へ・・・。

ここは何処だ?!

立派な松が立ている。

神社の鳥居をくぐれないまま、
しばらく私は立ち尽くしていた。

お参り帰りのおばあさんと
年老いた犬。

素直な目をした
白い犬・・・
私を見つめながら
片足を上げ
松の木に
おしっこをしていた。

そして
おばあさんと犬は
ゆっくりゆっくり歩いて行く。
素敵な、うしろ姿。

私も帰らなきゃ・・・・・。

歩いたら、
歩いていたら
帰りたくなった。

何処なのか!
何処へ帰りたいのか
本当は、
分からない。

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