50円のほうれん草

失われたものを
かぞえてみた
失われた思いを
たどってみた。

いま、この私には
心の足し算が出来ない
引き算も出来ない。

最も
悲しいのは
愛が
わからなくなったこと。

愛には
数字も、表も、裏も、
過去、現在、未来も
当てはまる形も
不純な色目もない。

それらを知ったら
そう、
まったく、何もかも
わからなくなった。

今まで私は
無くす為、
捨てたものは
沢山ある。

得る為、
拾ったものも
そこそこある。

しかしながら
今になって
風に飛ばされた心の中、
何もない・・・残っていないのだ。

こんなむなしい人生が
明日、また明日も
続くのなら
残りの人生を
そのまま神にかえす。

不思議な世界だ
世界は不思議だ。

売れ残った50円の
萎びたほうれん草。

かわいそうだね!
私が
食べてやる・・・・・。

頬に流れるこの涙は
何の意味もない。

ほうれん草が美味しくて、
美味しいので
泣いているのかも・・・。

明日から私は
ポパイになるのだ!
いつでも、どこでも
愛する
オリーブを見守るポパイになるのだ。

絶対に、オリーブには
ならない。

少しずつ、ゆっくりと
心の中から
なまぬるい風が通り抜けていく。

50円のほうれん草から
かけがえのない力を
いただいたそんな夜の事でした。

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