仙人掌





















夏までは
何とか
花を咲かせ
あの娘を
喜ばせてあげたい。

夏までは
何とか
生き延び
あの娘の
笑顔を取り戻してあげたい。

体中の寂しさを忘れ
体中の血を絞り
体中の
一番温かいところに
世界一
鮮やかな色で
咲かせて、
みせて、
あげたい。

夏が・・・
待ち遠しい。


ある日
見知らぬ女が
傍に近づき
ちらちらと
見つめながら
無礼にも
勝手に
体中を
撮り移した。

「かわいそうに・・・
このサボテン、死んでいる。」
といいながら・・・・・。


あの娘を
待っている
夏真っ盛りの夕暮れ、

私は

私は

死んではいない。

・・・・・・・

待っているだけだ。

待ち続けているだけなんだ。

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