川で洗濯

私は十七歳まで川で洗濯をしました。
盥に洗濯物を入れ仲良しの友達と夕暮れの川へ行き
肌着や靴下を大きな石の上にのせてごしごし洗いました。
村の人たちは遅くても昼までは洗濯物を洗い
家の庭先に干していましたが
友達と私はいつも夕暮れ。
洗濯物を夜、外に干したままにすると
魂を盗まれるぞ~と大人たちは言っていましたが
私達は少しも怖がりませんでした。

川に流された靴下と靴
川に流した悲しみ。

小学校六年生のとき、
仲良しの友達が
冬の川で溺れて死にました。
私の故郷の冬は
肌が切れる寒さです。
冬の川は厚い氷に覆われ、
村の人々の楽しみは
川の上に立ち、のこぎりで氷を大きく切断し
船遊びをすることでした。
浅い氷の上にいた友達が突然
氷の下へ消えました。
友達が見つかったのは
長い冬が終わり
蓮華の咲く春でした。

17歳まで川で洗濯をしながら
ずっと、ずっと、
友達の事を思いました。


最近、洗濯機が壊れて手で洗濯をしていた。
大変だったが心が豊かになるのはなぜ?!
家族の下着、タオル、靴下などを自分の手で一つ一つ洗っていたら
いつも間に微笑んでいる私がいる。
しかし、大変。足、腰、腕が痛い。
夫が洗濯機の故障をパソコンで調べたらしい。
しばらく、ドライバーで開けたり閉めたりと忙しそうに動いた。
ごみが詰まっていたらしい・・・洗濯機が・・・なおった・・・。
どうだ!!自慢げな顔・・・・・。

川で洗濯をしていたあの頃がとても懐かしい。
川で亡くなった友達・・・寒い冬になると、
もっと思い出す。

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