窓の呟き

以下、

窓の、
短い片思いの
物語。


外と内、
その間に身を構えて
住んでいる薄すぎる存在。

私、窓でございます。

あなたのものでもあり
誰のものでも
ありません。

それは、
大して重要なことでは
ないのです。

あなたの知らない内に
あなたの全てを
知ってしまいました。

好きにもなり、
嫌いにもなりました。

あなたの夜、
あなたの空想、
あなたの鼻歌、
あなたの独り言。

それから、
あなたの食事、
あなたの怒り、
あなたの表と裏の顔。
あなたの祈り・・・。

充実に悩み、
必要以上に動き回るあなたが
私には面白いです。

私のこと、
何の疑いもなく
好きなことを好きなだけ
話すあなた。

聴こえてますよ!

凍りつく私の体へ
あたたかな吐息を吹きかけ
ハートのタットゥーを
入れてくれたあなた。

この冬が終われば
私の短い片思いは
窓の水滴のように
流れ落ち消えるのでしょう。

あー春が
静かに近づいてきます。

あなたは忙しくなり
きっと、
私に見向きもしなくなるのでしょう。

いいのです。

あなたのいる世界、
どこの外にも内にも
私はいます。

つらい時は、
いつでも
声を掛けてください。

あなたの為にとっておきの景色を
お見せしますので・・・。

窓より愛をこめて。

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