奴との勝負

後ろから傍に近づく
あいつは嫌な奴。

首筋、背筋が
一瞬にして青ざめる。

陽だまりの空間を塞がり
その面を必要以上に
私の顔面へ被せる。

私の眼球を
舐め転がしているような
奴の細長い切れ目。

相変わらず、光っているぜ・・・
お前は何者だ?

平和のないオレンジ色の宿
ここへ来る者は
自分の足で来たのではない。
上手い話に乗せられ
連れられて来たのだ。

弱い人の
痛いところを突っつき、
銭を稼ぐお前が
私には許せない。

まったく、呆れるぜ!

平和を望む弱者の叫び声、
遅くてもいいから
耳を傾けてちょうだい!

それから
私の後ろから近寄らないでほしい。

後ろからじゃ、
立ち向かえない。

男なら、せめて
前の方から来なさい!
いつでも勝負できるように・・・。

私は、決して逃げない。
私は・・・お前と戦う!

少しの平和を得るために・・・
・・自分自身のためにも。

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