赤い花




















どうせ、

一晩の内に

散る花なの。

どうせ・・・

あすには

死ぬ花なのよ。

それでも

欲しいでしょう?

どうしても

摘みたいでしょう?


二足で夜を這う

奴がいたの。

二足で

奴の夢に

化ける

赤い花がいたの。

甘くも

苦くも

美しくもない花へ

強くも

大きくも

賢くもない

弱い虫が来たの。

しかし

じめじめした

奴の欲望は

猛毒の蠍より強く、

粘々した

赤い花の血は

噴き出すマグマより

熱かったの。

それでも

虫は

花を欲しがり

花は

虫に刺されるのを

夢見ていたの。

やがて

奴は赤い花を

赤い花は奴を

殺してしまったの。

結局、

二人は死んだの。


それでも

欲しいの?

赤い花が・・・

欲望が・・・・・。

ほら、

あっちにも、

こっちにもいるよ。

咲き乱れて

いるのよ。


どう!

獲物に

餌食になってみる?

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