裸の女神




















見惚れるほど眩しい満月、
つまずくほど暗い道。

騒がしい人々は
箱に閉じこもり、
鳥たちは
ねぐらの中で
飛ぶ夢を見る。

不吉な赤い星がきらめき、
街は高炉に囲まれ
不死身の
カラスが
鉄筋の骨を貪る。

猫が
煙突の煙を追う。

川は
水しぶきになり
虹のように消える。

おかしな夜だ
恐ろしい夜だ

祈りたくなる夜だ!

聖典の女神が
飛び出してきて
密かに
裸の懺悔をしている。

静かな声で
私の代わりに
祈りまで
捧げている。

何かが
ひっくり返そうな夜だ

裸のまま
生まれ変わったような夜だ!

意識から伝わる
全ての醜い形体が
遠く
遠くへ
離れていく。

裸の女神も
微笑みながら
遠く
遠くへ
離れていく。

こどもの頃の
何も
お願いしていなかった祈り、
そのような祈りが
鮮明に
想い出す夜だ。

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