私は欲の木

切り落とせるのなら
切り落としたい。

根を引っこ抜けるのなら
引っこ抜きたい。

欲の重みに耐え切れず
ひび割れる体。
欲の悪臭に塗れ
枯れ果てる心。

醜い枝を
伸ばし続けている
愚かな私。
腐らすほど
増え続けていく
欲の果実。

全裸を
枯らしてしまいたい。

きっとわたし、
神様に見られている。
神様は実に恐ろしく
わたしは目を閉じ
跪くしかない。

昔出会った、
無欲の魂を持つ
こころの美しい木。
お日様に向かい
溢れ出す詩声を響かせ、
無邪気のまま
精一杯歌い続けたあの木。

今はどこに、どこにいる?

もしかしたらわたし、
あの木を
殺したのかもしれない。

欲ほど怖い生き物はない。
全てを食い尽くし、破滅させる。
言葉にならないこの悲しみを
救えるのは
無欲の魂を持つ木だけ、
あの詩声だけ・・・。

いつか
あの木のようになりたいと
切実に願った祈り。

神様、
あの木は
本当に死にましたか?
この世には
いないのですか?

わたしを
枯らしてください・・・
生まれ変わりたいのです。



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