区役所へ

そうか・・・私は日本人じゃないんだ
あたりまえのことを
忘れてた

私には私の番号があったんだ
慌てて思い出した

灰色の建物を見ると
めまいがおきる。
背広に眼鏡、難しい用語を
早口で言う男を見ると
頭が痛い。

そうか、札幌に来て
いつの間に
こんなに年月が過ぎていたんだ・・・・・

私は日本人妻で、
国籍は韓国。

区役所の若い職員が丁寧に
あれこれと説明をするけど、
よく分からないので、
よく分からないと言った。

寂しいもんだね、
住民票で証明する自分の存在。

シリアの難民は
何で自分を証明し
この先、何で存在への希望を抱くのだろう
私みたいな人間が
平和にくらしている間、
彼らは不慣れな国境の地面の上で泣いている。
それに比べると
私は何て贅沢なんだろう
寂しいもんだね・・・何て言えないよ。

区役所へ行く日は気が重い
しかし、
自分の手で選択できる小さくて大きな自由がある。
二つの国を持つ何んとも言えない幸せがある。
区役所へ行くと、
本来の自分の自分に逢える。
それが、ただの紙一枚、住民票であっても・・・・・。



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