写し出す

在るものを写すには
勇気がいる。

在るものを写さないのも
勇気がいる。

嘘でも、
真実でもある「在るもの・・・」

それは「物語」。

私は見る・・・
微かな境目の
何かを見る。

濁るほど光を増す、
この目を信じて見る。

「在るもの」へ
見られたいが為に
見続けている。

存在は、所詮、幻。
幻というのは、
人の、
一夜の夢に過ぎない物語。

それらを、
批判するかのように
真正面から眺める、
無礼なこと、
私はしたくない。

閉じ込められた、
在る幻の世界。
そこから漏れ出す数々の息。
眠る私の細胞を引き起こし
白黒の世を流浪し続ける物語。

消えないしつこい
悲しみを畳みながら
写真を広げる
私だけの夜。

そっと、
救いの手をつかむ。
はかり知れない強い力、
私はまた自分を信じ
在る明日へ生ける。


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