白木蓮

いつか、
貴方に告白する為でした。

四月の清楚な朝。

うぐいすからのお知らせ。
こっそりと、
告白する秘密の場所を
教えて貰いました。

鬼ごっこの遊び場、
石塔の後ろにある白樺の隣。

自分と同じ背の
木蓮の苗木を植えました。

何年後には木蓮の花が
咲くでしょう。

貴方は見た事ありますか?
落下する木蓮の花びらを・・・

無垢衣を脱ぐ、
初夜の花嫁の姿なのです。

時の流れは早いもので
いつの間にか、
心も体も女性になりました。

会える約束の日!

貴方に告白する為、
何度も髪に櫛を入れ
精一杯身づくろいをし、
木蓮の下で貴方を待っていました。

一日、二日、三日・・・・・・

貴方は来ませんでした。

きっと、風の噂で
私のことを聞いたでしょう。
・・・・・・・
・・・・・・・

今年も
純白な木蓮の花が
誰かを待っているかのように
咲いています。

春風に触れ落下する花びら。

誰かの、
叶わぬ恋の傷。
白い瘡蓋のようです。

汚らわしい私には、
無垢衣を羽織る夢など
今は、持っていません。
こんな単純なこと、
もっと早く、気付くべきでした。








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