旅人の探し物

夜明け前の静けさ。
計画も目的もないまま、
靴紐を結び直し
道の真ん中に立つ。

まだ、鳥達は眠っている。
金星を隠した群青色の空、
あぁ!
こんな悲しみは、
何処からやって来るのだろう!
沈黙の散り敷かれた道
私は歩く。

見知らぬ街、
見知らぬ人々。

見覚えのある花々、
見覚えのある星座。

何処に行っても、何をやっても、
心の虚しさは消えない。
時だけが過ぎて行く・・・

自分自身に丁寧に尋ねてみた。

もしかして、
しあわせを探しているのかい?

・・・・・うん。

周りに気を取られたら駄目よ!
目に映るものを信じる前、
まず、心の中を旅し感じて・・・
もう、見つかるはずよ!
随分、探し物が溜っているはず。

 ・・・・・


いつしか、染み付いた、
靴紐を結び直す癖、
今は無くなった。

自分自身、心の道への旅。
近くて、遠い。
崖もあり、暗闇もある。
しかし、金星より輝く光が、
いつも道案内をしてくれている。



 

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