豊平川 の かもめ

いつの間にか豊平橋は私の人生の一部になっていた。

春夏秋冬、長いあいだお世話になっている。

少しずつコンクリートの建物が増え10年前とはずいぶん周辺の景色も変わった。

私も、多分変わった。はず・・・

ほぼ毎日、川を眺める。

車の騒音が絶えないけど、耳を澄ませば川のせせらぎがきこえる。

都会の中、数少ない心のオアシス!

橋際のところで、たまにホームレスのおじさんに会う。

自転車に大きな紙袋を何個も乗せて、

ある日は私に声を掛けたり、

ある日は通り過ぎたり、(あきらかに気付いてない振りをして)

ある日はあめ玉をくれたり、

いつから、おじさんを知るようになったか覚えていない。

ほれ!あみ、あみ・・・(ほら、飴、飴)

へんな日本語のおじさん、まぁ、私の日本語もへんだけど・・・

おじさんには申し訳ない事をした。

つい最近、貰った何個かのあめ玉を、

ためらいながら捨ててしまった。罪悪感が残る。

・・・・・・・

昔、おじさんは小樽の漁師だった。

そして、今は橋の下で暮らしている。

豊平川にはかもめがいる。

鮭を食べたり、カラスと喧嘩したり、水浴びしながら、鳴きながら・・・

海でもない、浜辺でもない、川にいる。

おじさんは、かもめがすきで、好きすぎてしばらくの間この辺にいると言った。

今年になってから一度も、おじさんに会っていない。

おととい、橋際のところで川を眺めていたら、かもめ二羽が私の近くへ飛んできた。

なんだか身振りの大きいなかもめ。

かもめの大好きなおじさんに、また、会えるのかしら。





 

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