風の住む丘

風吹く丘を上れば分かる。
紛れも無い存在の悲しみを・・・

山にはなれない丘。

のろまの足を裏切ることなく
威風堂々さもないまま
柔らかな緩い腰へ草木を乗せ、
風の話に耳を傾けている丘。

存在の意味を失い
自暴自棄になりかねない私は、
余るほどの10本の指を広げ、
掴めない丘の風を掴む。

愚鈍な私・・・・・

色のない平凡な自分を嫌い
魂を揺さぶる濃い、何かを求めているが、
風のように全く掴めない。

あらゆる存在からの教えを無視し、
特別扱いされたい幼稚な願望に揺れ動く。

風の住む丘の何処かに、
こんな私を変えさせる
異次元への入り口があるのでは・・・

色のない風の意味を、
心から感じ取るまで、
長い間お世話になった。

風の住む丘・・・

萎れそうになった肺は、
いつしか拒否なく風を受け入れ
悲しみのうろこを優しく落としていた。

色のない色を想像する。
目に見えないものを信じる。
掴めないものを愛す。

無知にならない為、
私は風の住む丘を上る。

今を生きる私を、私へ導いてくれたのは
丘に宿る全ての存在のおかげ。

遅くなったが、
感謝の言葉を丘へ贈る。








 

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