なまえ

忘れていないのなら、
名前で呼んでください。

見上げるあの青い世界。
空の外には、
名前と言う惑星があり、
時々、選ばれた名前達が地上へ
降りてくる。

名前のない遥か昔の時代、
空の向こうには、
謎めいた生き物達が休まる暇もなく
名前を宿らせるため、
生命の楽園を鋤き起こしていた。

無名の物質が作り出す、
無色、無味、無臭の生まれたての名前達は
海へ潜り、川へ跳びこみ
地を掘り、木にぶら下がり
山を登り、空を飛び回っていた。

喜びの祝宴に耐えられない、
巨大な炎の侵入者は
名前達を破壊し、燃やし続けた。

大爆発を起こし、
銀河のかなたへ・・・・・
燃え盛る火の中から、名前達は歌う。

色をつけましょう!
味をつけましょう!
匂いをつけましょう!
命のあるものへ、命のないものへ
お届けしましょう!!・・・。

137億光年、
あの空の向こうには
名前達の住む銀河があり、
呼ばれる順番を待ちながら
我々の星を見つめている。
だから、あんなにも輝いているのだ。

名前と言うのは、
付けるんじゃなく、あの星からのかけがえのない贈り物。

あなたの名前を呼びたい。
私の名前を呼ばれたい。
子ども達の名前を愛し、
愛する名前達を大切にしたい。
名前のないものはこの世には存在しない。

死んでも、色あせる事無く残るのは
星と、名前だけ・・・。








 

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