朝の寄り道

今年の四月、娘が小学校一年生になり
私は、毎朝6時30分に起きるようになった。
最初は、かなりきつかった。
熱いコーヒーを飲んだ後、簡単な朝食を用意し、娘を起こす。
あれこれと忙しい朝を送っているが、今まで感じたことのない、
新しい毎日を経験するようになった。

早朝の空、空気、風はその時にしか出会えない。
当たり前の事だが、毎日違う顔を見せる朝に向かって「おはよう!」
早朝の「おはよう!」には魔法の力があり、今日の一日を
迎えられたこと、これからの一日を送ることへ、
無条件にありがたい気持ちになるのだ。

娘を学校へ送った後、ぶらぶらとあちらこちらを
歩いては、人の家の綺麗な庭先を覗き込んだり、
そんな私を、飼い猫は窓辺の中から見つめたり・・・。

車も通らない自転車も走らない、その上
出くわす人も無い、ゆっくりと歩ける道がある。
水車町だが、非常に静かで暗い。
南七条橋から南大橋までの間にある、細い中道。
豊平に住み始めてから、何度も行ったことがあろけど、
行くたびに何とも言えない不思議な気持ちになるのだ。
家も沢山あるのに、人の気配はほとんど無く、
やたらと鳥が鳴いていて、人の手入れが届いてないままの
草や花が静かに生い茂っている。
昔は水車のある、にぎやかな町だったらしい。

朝、その道に寄ると、胸が少しドキドキして、後ろを気にしながら
歩いている自分がいる。
やっと、豊平四条の36号線へ出ると、思わず安堵の息が漏れる。
そして、うんと変わって、36号線を走る途切れの無い車の騒音と、
ゴミを漁るカラス、出勤する人々の慌ただしい風景を目にし、
一仕事を終えたかのように、家へ帰ってくる。

これから、仕事をするようになると、朝の寄り道など
多分、そんな時間はなくなると思うが、
ふと、気休めの寄り道を見つけ、楽しみたいと思う。

朝の寄り道、持ち主の帰りを待ち続けている、
放置されたままのバイク。
 
 
 一週間後、こんなに植物に覆われている姿を目にして、びっくりした。
 

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