歩く鳥

飛べない鳥がいた。

空を飛び回る鳥達は、

飛べない鳥の噂話をしていた。

あの子は、羽がないのよ!
羽がないのは、鳥じゃないわよ!
あの子はきっと、咎の身なのよ!
よちよちと歩くなんて、
まあ、醜いわね・・・。
可愛そうに・・・・・。

何かの理由で飛べないのか、

誰もそんな事知りたがらない。

ただ、群れから離れ、

違った行動をするのが

気に入らないだけの話。

歩く鳥は、鳥の友達が欲しいけど

飛べる鳥達は見向きもしない。

虫を捕まえる事さえ忘れ、

あちらこちらで内緒話。


青い空を見上げ、歩く鳥は呟いた。

わたしは鳥!飛べないけどね!
歩くのも悪くないわ!
ここでは、わたしの事、珍しい目で
見ているけど、
声を掛ければ、返事くらいしてくれる。
でも、友達にはなれない・・・。

友達になれる方法って何だろう?

・・・・・・。

歩く鳥が欲しいのは、

騒がしい助言や忠告ではなく

心地よく一緒にいられる相手。

歩く鳥は、歩いて歩きつかれ

年老いた巨木の根本に倒れた。

巨木は戸惑いながらも

体から、一番先の丸い枝を選び、

歩く鳥が起き上がるまで

優しく撫で続けた。

全く違う姿の、歩く鳥と年老いた巨木。

言うまでもなく、二人は友達になり、

いつまでも仲良く暮らしたとさ!

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