気づくⅡ

地獄の
谷間に住む
動物たちは
深い
雲の海から
僅かな光が
零れ落ちると
裸に生えた毛を
そり落とし
祭りを開く。

互いの
不気味な体を
泥まみれに飾り、
一番
醜く固まった
体を選別し
祭りの中心へと運ぶ。

そして
土器を割るように
叩き、
粉々に砕き、
宙へ
撒き散らかすのである。

彼らの目的・・・
意味を知らない
儀式の祭り、
無知な騒ぎに
呆れ果てた
地獄の神は
悲しみに暮れ
谷間を去った。

去るものがいれば
現れるものがいる。

荒波のように近寄る、
血も凍るような、
残酷なほど
うつくしい
わめき声。

ああ、
眩しい!
あなたは、
誰?!


真夜中、
私は
目を覚ました。

そして
しばらく考えた。

現れたのは
天使でもなく
去っていたのは
悪魔でもない。

全部が全部
人間だ・・・。

自分が誰なのか
やっと
理解できたような気がした。

私は
谷間から
逃げ出した一匹の動物。

正確に言えば、
叩き割られ
宙へ
巻き散らかされた
泥なのかもしれない。

うつくしくなれる
憧れを求め
裸のまま
逃げ出した
地獄の動物なのかもしれない。

ともかく
地獄の谷間から
逃げ出したことは確かなような
そんな気がした。

多分・・・。

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