操り人形の砂時計

急かさないで、
そんなに急かすと後が無いよ。

物語を作っている最中なの。
だから、少しはゆっくりしててくれない?

急かさないで、
そんなに急かすと取り返しがつかないよ。

「物語は終わる為にある」
そんな事、私も分かっている。

運命を愛するように、
私なりに努力しているの。

私の為とはいえ、
見向きもせず、私をおいて行くのね。

どうすれば、あなたを、
裏切る事が出来るのかしら。

物語の主人公になりきれないまま、
埋もれたくないの。

瞬く間に埋もれて、消えて行きたくないの。

透明な優しさでむちを振るあなたが怖い。
私はあなたの操り人形のよう。

やっと私は気づいたの。
あなたの正体をね!

脆い私を閉じ込め、面白そうに
ひっくり返しては、物語を狂わせるあなた。

これ以上、あなたのおもちゃにはなりたくないの。

急がなくちゃ、
蓋を開け、ここから抜け出さなくちゃ。
何とか、出て行けそうだわ、
この、砂時計から。

誰かしら?
力強く蓋を抑え硝子の中を覗く者がいるの。

あぁ、あなたは・・・・・私そっくりの、操り人形。



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