片目

眠る屋根の上に、
今宵も現れました。

ある日は、細い白い目で、
ある日は、尖った黄色の目で、
ある日は、丸い赤い目で、
やさしい光を伝えてくれるあなた。

長いお付き合いだったのに
こんなにも遅く気付くなんて・・・。
初めて知りました。 
まさか、そんな過去があるとは・・・。

だから、海へ砂漠へ氷山へ行ったのですね。

無くした片目を探しているあなた!

つらいけど思い出して下さい。

何処の海に飲み込まれたのか、
何処の砂漠に落とされたのか、
何処の誰かに奪われたのか、
思い出して下さい。

今まで私の目に映ったのは目。
あなたの片目。

だから、いつも悲しいそうに私を
見つめていたのですね。

そのままの姿があなたの全てだとは思いませんが、
そのままのあなたが大好きでした。

力になれるのなら
一緒に探して見ませんか?

両方の目が同じだとは限らないので
教えてください。

あなたの片目は、
あなたの片目と同じですか?

もし見つかったら
きっと、この夜は明るいでしょうね・・・。

しかしながら
私の本音は永遠にあなたの無くした片目が
見つからないで欲しいです。

何故なら、
私にとってあなたは「月」だからです。

もし見つかったら
きっと、この夜は明るいでしょうね・・・。

片目を探しているあなた!
片目を取り戻すと、
きっとあなたも、私も
彷徨う事を忘れてしまうのでしょう。

それは、実に寂しい事です。

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